「誰もが輝ける場所を」と、新潟市で開かれているイベント。スポットライトが照らしたのは、アルコール依存症と向き合う男性の姿だった。

アルコール依存症は「地獄のよう」 

新潟市に雪が降った12月2日の夜、新潟駅南口のけやき通りで始まったのは、冬の新潟を暖かく照らす「光のページェント」。

「光のページェント」(新潟市中央区)
「光のページェント」(新潟市中央区)
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点灯式でオフィシャルサポートソングの「Hikaru」を歌ったのは、新潟を中心に音楽活動をしているUSUさん。

USUさん
USUさん

USUさん:
「Hikaru」の最後のアルファベットがU(You)。「あなたを照らしたい」という気持ちを込めた

光を希望と表現するUSUさん。本名・河谷諭さん(42)は、7年ほど前から「出口のない暗闇」をさまようような経験をしている。

USUさん:
ずっと酒に溺れていて、地獄のようなところにいた

2002年のデビューから言葉を巧みに操り、観客を沸かせるラッパーとして活躍してきたUSUさんだが、2018年に突然、引退を宣言。

USUさん:
他のアーティストに負けたくないとか。酒を飲むと、嫌なこと・つらいこと・さみしいことも忘れられる。壊れたという感じ。疲れちゃった

音楽活動をやめても日常的に飲酒を繰り返し、やがてアルコール依存症に。

USUさん:
酒を飲みたいから仕事を休む。酒に支配されていく感じ。母親から「あなたを刺してしまいそう。私を犯罪者にしないで」と言われた

USUさんの妻 良実さん:
一緒に頑張ろうと

両親や妻、そして子どもの支えも力に、2021年、音楽活動を再開したUSUさんだが、今もアルコール依存症と闘っている。

USUさん:
今、飲酒欲求がきている。これは抗酒剤といって、酒が飲みたくなくなる薬。薬を飲んでいるのに、それに負けない飲酒欲求がくるって相当。「もう一回地獄に行くのか?」と自分に問い詰めている

周囲に助けられたUSUさん 次は誰かを導く光に

11月12日、新潟市の江南区文化会館に、ステージを見つめるUSUさんの姿があった。

このステージ「あしたの星」は、新潟市を中心に表現活動をしている人たちに発表の場所を提供しようと、2016年から始まったイベントだ。

あしたの星 代表 近守さん:
「あしたの星」はお年寄りから子どもまで、障害のある人も、誰もがスポットライトを浴びるイベント

ミュージカルのようなダンスを披露したのは、障害がある子どもも一緒にダンスを楽しむ「DreamStar★」。

そして、ダウン症の斎藤紘左さんは、大好きなダンスをインストラクターのYukariさんと一緒に披露。

USUさん:
出演者の一生懸命な姿が心に響いた

あしたの星 代表 近守さん:
USUさんが発する言葉で、また何人かの人が救われると思う

表現への純粋な気持ちを見つめていたUSUさんは、このステージにゲストとして招かれた。USUさんは依存症の闇の中で見つけた光を音楽にして届ける。

USUさんもステージに
USUさんもステージに

観客:
経験をした人の曲というのは、本当に重みがある

観客:
夢を大切にして、これからも生きたい

冬の新潟の風物詩となった「光のページェント」。その光は夜の新潟を温かく灯す。

USUさん:
こんなきれいなところで、ライブをするまで戻ってこられて奇跡。色んな人に感謝したい

暗闇から出口へと導いてくれた光を知るUSUさん。今度は自分の音楽で誰かを導く光になれたら…

USUさん:
色々助けてもらった分、これから色んな人を照らしていけたらなと思う

闇を知る光が優しく輝く。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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