1日約522万人もの人が利用する地下鉄・東京メトロ(2021年度)。そこでは乗客の“ついうっかり”から毎日、大量の忘れ物が見つかっている。

全ての忘れ物は飯田橋駅へ 丁寧に確認して保管
電車の中や180カ所ある駅で、1日に見つかる忘れ物はなんと約1400点。見つかった忘れ物は…。

東京メトロ社員:
これから駅事務所に持って行って登録をします。

特徴・拾った時間・場所などのデータを登録し、各駅で情報を共有する。そして、すぐに落とし主が現れなければ…。
東京メトロ社員:
夜に送付作業をして、翌朝、飯田橋の方に送る。

全ての東京メトロの忘れ物が集められるという飯田橋駅。入り口の階段を降りた先にあるのが、「お忘れ物総合取扱所」だ。

棚にずらりと保管されている忘れ物は、約4500点。警視庁に届けられるまでの4日間ほど、こちらで保管されている。

午前7時45分。この日も、大量の忘れ物が届いた。

東京メトロ お忘れ物総合取扱所 市川学所長:
各駅から袋で送られてきた物をそれぞれ、いったん出して。中に何が入っているかを確認しています。

一体、どんな忘れ物があるのだろうか?

東京メトロ お忘れ物総合取扱所 市川学所長:
デジタルカメラですかね。こちらは工具箱。のこぎりとか入っていますね。

他にも、水筒やスケートボードに人気のゲーム機まで。


中にはこんな珍しいものも…。

東京メトロ お忘れ物総合取扱所 市川学所長:
椅子ですね。電車の中で(見つかった)ってことなんですけど…。

取材スタッフ:
何ですかこれ?
東京メトロ お忘れ物総合取扱所 市川学所長:
ゴルフバッグですけど、まだ使っていない新品じゃないですかね。

さらに、季節外れの扇風機やヒーターなど、大きな家電の忘れ物も。

そして、最近増えているのが…。

東京メトロ お忘れ物総合取扱所 市川学所長:
ワイヤレスイヤホンの片方だけだったり、充電器はやっぱり多いかな。大体1日10個くらい届きます。

東京メトロ お忘れ物総合取扱所 市川学所長:
これはカレンダーですね。ちょうどこの時期になると、カレンダーの忘れ物って増えるんですよね。
さらにこの時期ならではの、こんなものも…。

東京メトロ お忘れ物総合取扱所 市川学所長:
旅行支援が始まって旅行されるお客さまが増えているので、地方のお土産の忘れ物が増えている。
取材スタッフ:
一応、中身を確認して?

東京メトロ お忘れ物総合取扱所 市川学所長:
そうですね。中身と賞味期限を確認して。すぐ切れちゃうものだったら廃棄しちゃうんですけど、3カ月持つようなものは、警視庁に送る形になる。
必死で捜索 友人にもらったチーズケーキを置き忘れ
するとこの日も、お土産の忘れ物を取りに来た人がいた。その忘れ物は…。

東京メトロ社員:
品物は何になりますか?
女性:
チーズケーキ。

聞けば、友人からもらった旅行土産のチーズケーキを前日、電車に忘れてしまったという。女性はすぐに東京メトロに問い合わせ、飯田橋まで取りに来た。
東京メトロ社員:
お待たせしました。

無事、チーズケーキを受け取った女性。なぜ大切なお土産を忘れてしまったのか?

女性:
お友達からもらって、それをちょっと網棚の上に載せてしまって忘れちゃったんです。娘も楽しみにしていたから。これから帰って食べます。

ということで、その日の夜。

娘:
電車にチーズケーキ忘れてくるとか、なかなかないよね。珍しすぎない?
女性:
私もびっくりしたわよ~。今日必死になって捜した。
そのチーズケーキのお味は?

女性:
おいしい~。
娘:
うまい!
女性:
見つからないと思ったけど、見つかった!良かった!
お酒で寝てしまい…忘れ物の“定番”スマホ
そして、落とし物といえば…。

東京メトロ社員:
お品物は?
男性:
携帯電話です。
東京メトロ社員:
iPhoneとスマートフォン?
男性:
スマートフォンです。

落とし物の“定番”ともいえるスマートフォン。この30代男性は終電に乗っていたが、どこで落としたのか覚えていないという。

担当者が向かったのは、個人情報に関する忘れ物が取り扱われる部屋。防犯上、カメラが入れるのはここまで。

30秒後、戻って来た担当者の手にはスマホが。
東京メトロ社員:
間違いないと思いますが、こちらで?
男性:
はい、そうです。

無事、男性のもとへ戻ってきた。どうしてなくしてしまったのか?
男性:
おそらくお酒です。疲れていたので寝ちゃって、置いていっちゃった。

男性は胸をなで下ろし、帰って行った。お酒の飲み過ぎには気をつけよう。
帰国する友人に会う最後の日、時計を贈るつもりが
続いて、こちらの女性が捜していたのは時計。電車に置き忘れてしまったという。

届いているか見に行くと、たくさんの紙袋が入った棚の下から、大きな紙袋を持って戻って来た。

東京メトロ社員:
お待たせいたしました。こちらでお間違いないですかね?
女性:
そうです。はい。

女性が忘れたのは「腕時計」ではなく「掛け時計」。

女性:
お友達がシンガポールの方なんですけど。彼女がもう帰国しちゃうので、今日最後にお会いできるので、今日持って行って渡す。

日本を旅立つ友人へのプレゼントだった。

女性:
ああ、もう本当に助かったというか、ありがとうございますという気持ちでいっぱい。
妻愛用の子育てリュック「おむつ替えに慌てて」
仕事帰りの男性は、家族の忘れ物を取りに来た。

男性:
黒いリュックで、中は赤ん坊の着替えとかしか入ってない。

子育て用の荷物が入ったリュックだ。棚を捜すと、黒いリュックがあった。
東京メトロ社員:
こちらのリュックで間違いないかと思います。一応、中身お確かめください。

男性:
はい、間違いないです。
東京メトロ社員:
間違いございませんか。ありがとうございます。
男性の妻が10年以上使っているというリュック。話を聞くと、紛失も子育てならではの理由が…。

男性:
トイレで子供のおむつ替えをしている時にバタバタしてしまって、そのまま忘れてしまった。

リュックの中には、水筒や赤ちゃん用のご飯。かわいらしいパーカーも入っていた。

男性:
子供服って捨てられないですし、なくなるとさみしい感じはしますね。物が届いていて安心しました。

後日、このリュックを背負って家族でお散歩へ。

リュックに入っていたパーカーを着て元気に公園で遊んだら、家に帰ってご飯の時間。

赤ちゃんもこの笑顔。リュックが見つかってよかった。

東京メトロ お忘れ物総合取扱所 市川学所長:
ハンカチ1枚でも、落としたお客さまにとっては、形見だったりすることもあるので。どんな物でも丁寧に、お客さまの大切な財産として扱うようにしています。

落とし主にとっては大切な忘れ物…。そんな思いに寄り添い、1つ1つ大切に保管されている。
(「イット!」12月13日放送)