寒い冬、心も体も温めてくれるのが「おでん」。 金沢には、おでんの名店と呼ばれる店がいくつもある。
中でも最近移転した金沢の老舗おでん店に、先代から大切にしている思いを聞いた。
移転した老舗おでん店…先代の味を受け継ぐ2代目店主の思い
金沢市三馬の「古都加賀おでんみひろ」は創業51年の老舗店。2022年9月、元の店からほど近い場所に移転、リニューアルした。

のれんを守っているのは、2代目の横萩信一(よこはぎ しんいち)さん(65)。常連客からは“しんちゃん”の愛称で親しまれている。


竹内章アナウンサー:
こちらに移転したのはいつですか?
みひろ2代目 横萩信一さん:
9月15日に移転しました。前の方が良かったっていう方がいるかなって思ったんですが「綺麗ないい店になって良かった」「居心地も良い」って言って頂けて、常連さんから毎日一緒に乾杯しようということで毎日飲んだくれています。


先代から受け継ぐ「古都加賀おでん」とは
竹内アナ:
これからの寒い季節はおでんの湯気がものすごく食欲をそそるんですが、だしは代々受け継いだものなんですか?
横萩さん:
先代の両親が最初に作っただしで甘みが入っていないんですよ。なので普通の和風だしです。ただ、かつお節ではなくてサバとかアジとかイワシとかの削り節を使っています。後は塩とか薄口しょうゆとか酒とかになります。


竹内アナ:
長いこと漬けているとどんどん味が染みていきますよね?
横萩さん:
その素材によっておでん鍋の中に入れておく時間が全然違うんですよ。さつま揚げは20分も入れていたら、だしだけの味になって食感も弾力性が無くなっていくんです。

横萩さん:
今は綺麗に並んでいるおでんですが、時間が経ったら一旦鍋から上げます。

横萩さん:
大根は3時間ぐらいですね。

竹内アナ:
それを素材ごとにやっているんですか?手間がかかりますよね?
横萩さん:
素材の味をそのまま逃さないようにって意味で、先代が付けた名前が「古都加賀おでん」なんです。

竹内アナ:
最近は金沢おでんって言いますが、横荻さんにしたら加賀おでん?
横萩さん:
50年以上前から「加賀おでん」って先代が出していったんです。素材の味をちゃんと残した状態で提供するという風な…両親が勝手にネーミングしただけですが。

大根1つにも愛情をそそぐ、その味は
この季節、人気のネタは大根。みひろでは、青首の総太り大根を使っている。


竹内アナ:
おでんの冬というと金沢では「源助だいこん」のイメージがあるんですが?
横萩さん:
源助だいこんだと柔らかくなり過ぎるんです。ある程度柔らかくなり過ぎないように。
みひろでは、皮はあえて、厚めにむくと言う。
横萩さん:
皮の近くに繊維質がすごくあって薄くむいちゃうと口の中に繊維が残るというのがありますね。

皮をむいた大根は約50分間、下茹で。

こうして下処理が終わると、いよいよ「だし」の中へ。大根のネタとしてお客の口に届くまで、ここから3時間。


竹内アナ:
大根らしさを残しつつ、いい感じでだしが染みてますよ。
横萩さん:
色々な食材の味を少しずつ…

竹内アナ:
食材から染み出てきた旨味みたいなものを吸っているんですね。移転して綺麗なお店になって先代も喜んでるのでは?

横萩さん:
本当に地域の皆さんやお客さんに支えられて50年以上になりましたので、これからもこの先も皆さんに長くお付き合いして頂いて元気に楽しくお店をやっていきたいと思っています。
「金沢おでん」ならぬ、みひろの「古都加賀おでん」。是非、一度、味わっていただきたい、金沢の逸品だ。
(石川テレビ)