トヨタは、機能や装備を後付けにしてバージョンアップできる、新たなサブスクを始める。

機能を随時アップデート・装備後付け 月額は約1割引き下げ

トヨタ自動車は、この冬に発売する新型プリウスで、新たな個人向けの定額サービス「KINTO Unlimited(キント アンリミテッド)」を始めると発表した。

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ソフトウェアを更新することで、安全運転を支援する機能を最新のものにアップデートできるほか、装備も簡単に後付けできるという。

契約した後も、車の機能を高めて価値を維持できるため、月額をこれまでより約1割引き下げるとしている。

KINTOの小寺信也社長は、「足元で物価高騰が叫ばれている中、お客様にとって大きなベネフィットにつながると強く確信をしております」と話す。

トヨタは今後、他の車種への導入も検討していくとしている。

「所有」より「利用」に価値 付加価値の高いサービスが成功のカギ

「Live News α」では、一橋ビジネススクール准教授の鈴木智子(すずき さとこ)さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
トヨタが展開している車のサブスクサービスの新しい提案、どうご覧になりますか?

一橋ビジネススクール 准教授・鈴木智子さん:
かつて、トヨタは「いつかはクラウン」という有名なキャッチコピーで、車を所有する喜びを表現して、ユーザーの心にアプローチしていました。
それが今、自分のモノにする「所有」よりも「利用」することで得られる価値を重視する「リキッド消費」への志向が高まっています。
また週末以外は車を運転しない人の場合、「ニーズに合わせて借りる方が経済的ではないか」という考え方も広まりました。
こうした、所有から利用へという大きな流れに対して、今回のトヨタの提案は、そのひとつの答えのようにも思います。

三田友梨佳キャスター:
今回の新しいサービスを定着させるためには、どんなことがポイントになるのでしょうか?

一橋ビジネススクール 准教授・鈴木智子さん:
車に限らず、動画配信や化粧品などを含め、サブスクビジネスで安定的な収益を得るには、常に高い顧客満足を実現して解約率を低く抑える必要があります。
そのために、会員だけの特別なサービスが受けられるなど、利用者のニーズに応じた付加価値の高いサービスを提供する必要があります。それがサブスクビジネスの成功のカギとなるわけです。
今回のトヨタの提案は「車に安心して乗り続けたい」「カーライフにかかる出費を極力抑えたい」というニーズに答えるように設計してあります。

三田友梨佳キャスター:
確かに、週末に家族でドライブするなど、楽しい時間を過ごすために「安全」は最優先ですし、   その費用を抑えられるのも嬉しいですよね。

一橋ビジネススクール 准教授・鈴木智子さん:
例えば、衝突してしまった際の被害を軽減するブレーキに関するソフトなどは、日々進化していますが、サブスクだと常に最新の状態にアップグレードされます。
またハンドルを握るドライバーの個々のデータが収集されるため、専用アプリを通じて、安全運転や燃費向上につながるポイントのアドバイスも受けられます。
これまでの所有する車では、テクノロジーの更新の際に新たな負担を求められることが多かったのですが、サブスクではその心配はありません。
一方、車はプライベートな空間だからこそ、所有して自分好みにカスタムしたいというドライバーも多くいるのも事実です。
多様化するニーズに合わせ、様々な選択肢を用意することが求められているように思います。

三田友梨佳キャスター:
ニーズが多様化・複雑化する中でどう応えていくのか、体験の選択肢が増えていくことが、ユーザーの生活をより豊かにしてくれそうです。

(「Live News α」2022年12月7日放送分より)

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