世界遺産・石見銀山にもゆかりのある「サツマイモ」で、町おこしをしようという取り組みが始まっている。島根・大田市の恵みを余すところなく利用した地域活性化の取り組みを、客室乗務員でJALふるさと応援隊の三好亜実さんが、大田市で取材した。

客室乗務員でJALふるさと応援隊の三好亜実さん
客室乗務員でJALふるさと応援隊の三好亜実さん
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保存難しい「サツマイモ」採石場で試験保存 

JALふるさと応援隊・三好亜実さん:
ここはすごい迫力ですね。岩がもう自分に迫ってくるような感じです

大田市にある「福光石」の石切り場。「福光石」は、吸水性に優れた岩石で室町時代後期から採掘が始まり、世界遺産・石見銀山にある「五百羅漢像」や街道の補修などにも使われてきた。

JALふるさと応援隊・三好亜実さん:
すごいですね。すごく深いです

別世界を思わせる空間が広がっている。その奥に…。

JALふるさと応援隊・三好亜実さん:
どなたかいらっしゃいます。こんにちは。こちらで何をされているんですか?

平和亭・田中伸哉社長:
今、サツマイモの保存を試験的にやっているところなんです

JALふるさと応援隊・三好亜実さん:
サツマイモですか。石じゃないんですね

迎えてくれたのは、大田市の飲食店・平和亭の田中伸哉社長。

JALふるさと応援隊・三好亜実さん:
どうしてここで、サツマイモを保存されているんですか

平和亭・田中伸哉社長:
採石場が非常に温度が安定しているので、条件が良いのではないかということで今、試験的にこちらで保存しています

サツマイモは10度以下だと腐ってしまい、20度以上になると芽が出る、保存が難しい作物だ。ここは年間を通じて14度から15度。さらに湿度は約90%とサツマイモの貯蔵には最適な環境となっている。

平和亭・田中伸哉社長:
世界遺産の石見銀山には「芋代官」という歴史がある。その芋代官にちなみ、また今、焼き芋が人気なので、地域おこしもかねて、おいしいサツマイモを作って大田市を盛り上げたいと思っています

サツマイモづくしのランチにツアーも

石見銀山には江戸時代、代官の井戸平左衛門が飢饉に襲われた民衆にサツマイモ栽培を奨励し、飢えから救ったという逸話が残されている。

また、サツマイモは標高約400メートル付近で栽培すると糖度が上がるという研究結果があり、隣の島根・飯南町では「森の絹」というブランドで年間約80トンを栽培し、東京などにも販路を広げている。

田中さんは、似た環境の三瓶山でも、甘いサツマイモができると考え、2022年に初めて、約1.7トンを収穫。芋掘り体験や石切り場の見学などができる「サツマイモ」ツアーも始めた。

ツアーでは、「芋代官」井戸平左衛門を祭る神社にも参拝。さらに…。

平和亭・田中伸哉社長:
どうぞ

JALふるさと応援隊・三好亜実さん:
先ほどと雰囲気が違いますね

平和亭・田中伸哉社長:
はい。私の店の平和亭では、ツアーの特別メニューとしてサツマイモづくしのランチをご提供しています

油淋鶏にポタージュ、そしてデザート。
サツマイモづくしのランチです。

JALふるさと応援隊・三好亜実さん:
すごく甘くておいしいです。油淋鶏の甘酢の酸っぱさとお芋の甘さがいいコラボレーション。

JALふるさと応援隊・三好亜実さん:
今後の目標はなんでしょうか

平和亭・田中伸哉社長:
世界遺産の石見銀山、日本遺産の福光石、国立公園の三瓶山で栽培する。このつながりをサツマイモだけに“芋づる”で皆さんを引きずり出して、つなげていって、唯一無二のこの大田市の価値を高めていきたい

田中さんは早速、市内の洋菓子店にサツマイモスイーツの開発を依頼。イベントや期間限定商品として、販売を始めた。地域の恵みを“芋づる式”に掘り起こし、あまーいサツマイモの地域ブランド確立へ、挑戦が続く。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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