広島県で最も高齢化率が高い人口5800人の町、安芸太田町で町民用電子マネーが導入された。町の経済活性化が目的だが、取材すると、そのほかにも行政のデジタル化によるメリットがあることがわかった。

7000円分無料配布  チャージで2%還元

人口5800人余りの安芸太田町。町が新しく導入したのは地域通貨「morica」。

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カードのデザインは町の公式キャラクター「もりみん」。カードは町内の全住民に配布され、1人7000円分の電子マネーが事前に付与されている。

安芸太田町企画課・志水大将主任:
7000円分は物価高騰への、生活支援として活用して頂きたい

電子マネーは町内のスーパーや飲食店などおよそ60店舗で利用でき、今後100店舗程に増える見込みだ。

志水大将主任:
チャージした金額の2%プレミアムがつくカードになっています。5000円をチャージしたら100円が上乗せされ、5100円になります

コロナ禍などで影響を受けた地域の店舗を支援するため、プレミアムをつけることで町内での買い物を促す狙いがある。プレミアムの2%分は店舗から徴収する1%の手数料と町で負担する。

今後は診察券、電子カルテにも

moricaカードには、もうひとつ大きな目的があるという。
志水大将主任:
町内のデジタル活用で住民サービスの向上にも取り組んでいきたい

行政のDX化だ。このカードは裏にQRコードがあり、利用データが記録される仕組みになっている。商品購入の決済だけでなく、町民が1回700円で利用できる定額タクシーの利用証明証の役割も担う。

山北陸斗記者:
これまでは紙の申請書を役場の窓口に提出し、定額タクシー利用証明書を受け取る必要がありましたが今後一切必要はなく、moricaカード1枚で証明書となります

山北陸斗記者
山北陸斗記者

また安芸太田町は県内で最も高齢者比率が高い自治体。

公共交通機関を使って買い物や病院に行く高齢者も多い。そこでカードを利用する町民の移動データを集約し把握することで、今後のコミュニティーバスのルート制定など、公共交通政策に活かすことができるという。

志水大将主任:
今後は防災や医療などの分野にも活用を来年度以降検討していきたいと考えています。町民の方に利便性、住民生活の向上にあたるようなものにしていきたい

利用開始に合わせた導入事業者の1つが安芸太田病院で、早速チャージ機の設置が進められていた。病院では医療費の支払いだけでなく、診察券としての役割も今後備えていきたいとしている。

安芸太田病院・平林直樹さん:
患者自身の健康情報を入れるPHR=電子カルテのシステムを入れることになるので、全てが一体化できることで、患者にとってのメリットが大きい

店側からは期待の声が上がる一方で、町民からは「使い方が分からない」といった声も上がっている。町は12月以降、住民説明会を実施し、利用促進を図っていきたいとしている。

今回の電子マネー導入に橋本博明町長は町の”暮らしやすさ”を追及することに活用していきたいと意気込む。
安芸太田町・橋本博明町長:
小さな町だからこそ、新しいことに果敢に挑戦していかなければいけないと思っているので、DXの取り組みを進めながら最終的には”過疎を食い止める”そういう起爆剤に繋げていきたい

町は2022年の予算に1人7000円、人口5800人分を超える4400万円を計上しているほか、国や県の補助金も充てる予定だ。

電子マネーの地域通貨は全国に広まりつつあり、地域内でお金を回す循環型経済で地域経済を活性化させる取り組みとして注目されている。

(テレビ新広島)