TSKさんいん中央テレビが取材を続けている島根・出雲市の日系ブラジル人・セルジオさんは、出雲に移住したブラジル人の新たな雇用の受け皿にと、ブラジルでなじみ深い野菜の栽培に取り組んでいる。このうち、収穫時期を迎えたキャッサバを使ったセルジオさんの新たなプロジェクトに密着した。

日本初?出雲産の「キャッサバ」で作った焼酎

出雲市にある富士酒造の代表銘柄「出雲富士」は、出雲の地で「富士のように志高く、酒造りを」と名づけられた。

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そんな酒蔵で新たに仕込まれたのが「キャッサバを使った焼酎」だ。

富士酒造・山下大介さん:
サツマイモほど甘味はないが、どちらかというと栗に近い。正直、見て食べたのも初めて

蒸し上げられ黄金色に輝くイモのような食材のキャッサバ。タピオカの原料で、ブラジルでは定番の野菜として親しまれている。米ではなく、このキャッサバで焼酎を仕込む。

28日、仕込みの最初の段階の発酵作業が行われた。米麹、水、酵母を入れたタンクにキャッサバを投入していく。

富士酒造・山下大介さん:
カンボジアのキャッサバで作られた焼酎は聞いたことがある

――出雲産のキャッサバで作るのは?

富士酒造・山下大介さん:
日本初じゃないですか?寝かせた時にどんな香りがでるか楽しみ

キャッサバで“新たな雇用の受け皿を”

全国でも珍しいキャッサバを使った焼酎。原料のキャッサバの栽培しているのが出雲市の日系ブラジル人の滝浪実セルジオさんだ。

日系ブラジル人・​滝浪実セルジオさん:
これも良いと思う。立派です

現在、約3600人のブラジル人が暮らす出雲市でブラジル人の新たな雇用の受け皿を作ろうと、日系ブラジル人を中心に約20人の仲間とキャッサバの栽培に取り組んでいる。

一緒にキャッサバを栽培 古河ウィルソン杉男さん:
畑仕事はしんどいが、お金では買えない価値がある。(将来は)畑で栽培しながらここに住んでいきたい

栽培を始めて4年目。収穫量は年々増加しているが、2022年は冬の寒波で1万本の苗のうち半数が枯れ、収穫量が目標の半分程度にとどまるなど「稼げる農業」にはほど遠い状態だ。

日系ブラジル人・​滝浪実セルジオさん:
成功してないと誰も手をつけてくれない。大量に売れるような販路を作ろうと思っている

商品価値を高めるため、まとまった量の販路を探す中、焼酎の原料として関心を示したのが富士酒造だった。富士酒造では、これまでにも「そば」や「西浜いも」、「ヤーコン」といった出雲市内産の食材で焼酎を仕込んだ経験があり、キャッサバも今の出雲の姿を映す可能性のある食材だと感じている。

富士酒造・今岡稔晶専務:
地元の酒にもっと親しんでもらって「出雲の地で生活している」ことを皆さんに認識してもらいたい。楽しく飲んでもらってコミュニケーションを取ってもらいたい

キャッサバの焼酎は2023年春に完成する予定で、販売も検討しているという。
出雲生まれのキャッサバをもっとメジャーに。「稼げる農業」を目指すセルジオさんの挑戦は始まったばかりだ。

(TSKさんいん中央テレビ)

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