都内の博物館に出かけられた天皇皇后両陛下と長女の愛子さま。およそ3年ぶりに公の場で撮影された”3ショット”の裏側には愛娘を思い、報道陣にも配慮される両陛下のお気遣いがありました。

皇后さまの配慮が「撮り直し」へ

おととい24日午後6時過ぎ、両陛下と愛子さまは上野にある東京国立博物館を訪問されました。おととし1月の大相撲観戦以来、およそ3年ぶりのご家族揃った公の場でのご活動です。

東京国立博物館に到着された両陛下と愛子さま(24日)
東京国立博物館に到着された両陛下と愛子さま(24日)
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両陛下、愛子さまとも”淡いブルー”でコーディネートされていた
両陛下、愛子さまとも”淡いブルー”でコーディネートされていた

陛下のネクタイ、皇后さまのパンツスーツ、愛子さまのタートルネックのシャツが淡いブルーの色調でコーディネートされたこの日の「3ショット」、実は撮影のやり直し=いわゆる「テイクツー」だったのです。

側近によりますと、国宝の屏風について説明を受ける際、取材カメラの位置からだと、愛子さまのお姿が見えづらいことに気付いた皇后さまが、陛下にそっと伝えられ、陛下から側近に、撮り直しを提案されたそうです。いわばご夫婦の連係プレーでした。

貴重な”取材機会”に配慮

回復の途上にある皇后さまにとって、カメラによる取材にはまだ負担もおありだと思います。そんな皇后さまが、報道陣の撮影に目を配り、撮りづらい状況に真っ先に気付かれたことがもたらした今回の「テイクツー」。

撮り直し前の両陛下、愛子さまの”スリーショット”
撮り直し前の両陛下、愛子さまの”スリーショット”
撮り直し後の”スリーショット”。愛子さまの姿が、明らかに、カメラから撮りやすくなった。
撮り直し後の”スリーショット”。愛子さまの姿が、明らかに、カメラから撮りやすくなった。
撮り直し前では、陛下の姿に、愛子さまが隠れてしまう場面も
撮り直し前では、陛下の姿に、愛子さまが隠れてしまう場面も
撮り直し後では、説明を聞かれる愛子さまの様子が、しっかりとカメラにおさまっていた
撮り直し後では、説明を聞かれる愛子さまの様子が、しっかりとカメラにおさまっていた

回復への歩みを傍らで支え続ける陛下は、皇后さまのアシストをとてもうれしく感じられたのではないかと思います。

コロナ禍で成年を迎え、両陛下への感染を防ぐために徹底して外出を控えられている愛子さま。学業優先で、この日も大学の授業を終えた後の外出と見られます。貴重な活動の機会に良い映像が撮影出来るよう、愛子さまに対しても、我々報道陣に対しても、両陛下が心を配られていることが感じられる「テイクツー」でした。

「3人で豊かな時間を」

日本文学を専攻している愛子さまは、大学で学んでいる文学作品『椿説弓張月』をモチーフにした幕末の浮世絵版画など、教材で見てきたものの実物に目を輝かせ、食い入るように見つめられていたそうです。

皇后さまが陛下に話しかけられる場面が。皇后さまの「気づき」が「テイクツー」につながった

成年皇族として歩み始めたばかりの愛子さまの公的な活動として、関心のある分野の特別展を選び、ご家族で鑑賞された1時間半。愛子さまが陛下の腕に手を添えて声をかけられたり、皇后さまが愛子さまに話を振られる場面もありました。

「国宝に代表される素晴らしい作品をゆっくり3人で見ることができて、豊かな時間を過ごせました」娘の学びと経験を支えた妻のアシスト。家族思いの陛下の喜びがしみじみと伝わってきました。

(フジテレビ社会部・宮内庁担当 宮崎千歳)

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社会部
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今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。

宮﨑千歳
宮﨑千歳

天皇皇后両陛下や皇族方が日々取り組まれる様々なご活動をより分かりやすく、現場で感じた交流の温かさもお伝えできるような発信を心がけています。
宮内庁クラブキャップ兼解説委員。1995年フジテレビジョン入社。報道局社会部で警視庁クラブなどを経て、2004年から宮内庁を担当。上皇ご夫妻のサイパン慰霊の旅、両陛下の英エリザベス女王国葬参列などに同行。皇室取材歴20年。2児の母。