旧統一教会に関連する被害者救済に向けた新法について、与野党協議の場で議論するよう、岸田首相が茂木幹事長に指示したことを明らかにした。旧統一教会を巡っては、生活が困窮するほどの高額な献金が問題になっている。

元首相銃撃事件で明らかになった「高額献金」

発端となったのは、ことし7月に起きた安倍元首相銃撃事件だった。銃撃した山上徹也容疑者(42)の母親は、少なくとも1億円を献金して破産。しかし、その後も献金は続いていたという。

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<山上容疑者の手紙>
「母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の10代は過ぎ去りました」

その後、元2世信者たちが次々と声を上げ始め、16日に開かれた野党の会合でも「母は自己破産し、両親はいまだに献金による借金を返済中」といった声が。破産に追い込まれるまでの献金が行われている実態が明らかにされた。

こうした被害をなくそうと、今国会での成立を目指す新しい救済法案。与党幹部によると、政府は“宗教団体が信者に借金や土地売却までさせて寄付を要求すること”を禁止する方針で、事実上の「上限規制」を設ける形だ。

救済法案の概要

政府が現在検討している法案では、信者本人が宗教団体に行った寄付が「悪質な勧誘行為」によるものであった場合、寄付の取り消しが可能になる。

しかし、信者本人がマインドコントロールを受けているなど、寄付取り消しの意思がない場合もある。その際は、信者の家族にも生活費などを受け取る権利があるとして、信者本人に代わって、一部寄付(生活費など必要な範囲)を取り消し可能にする方針だ。

この法案について、元信者などの支援活動をしている全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士に聞いた。

(Q.この法案で被害者は救えそうですか?)
紀藤正樹弁護士:
この問題には超党派で取り組んでいただきたいんですが、争点は3つです。1つめは「悪質な勧誘行為」がどこまでの範囲を指すか。そこが与野党で十分に詰め切れていません。特にマインドコントロールのどこまでを射程に入れるのかが、今、最大の争点です。2つめは「第三者取り消し権」。家族や周りの人が、どういうふうに取り消しできるか。本人がマインドコントロールを受けている場合、家族が取り消しできなければ、結局救済できないんです。この「取り消し可能」という範囲をどこまで認めるのかも次の争点です。これもまだ、与野党で詰め切れていません

紀藤正樹弁護士:
3つめは罰則についてです。茂木幹事長からは「罰則を付ける」という話が出てきていますが、具体的な内容はまだですので、18日に概要で、どれぐらいの案が政府提案でなされるか。われわれ被害者の代理人からすると、そこが最大の懸案事項です。いい案が出てくることを強く望んでいます

(Q.「悪質な勧誘行為」について、関西テレビの取材では「霊感」を使った告知、「退去妨害」などが基準になるとみられ、「マインドコントロール状態にあるから取り消しができる」といったルールにはならない可能性が高いようです。信者本人の意思での献金かそうでないかといったところで、法案の成立には慎重になる必要がありそうですが…

紀藤正樹弁護士:
本来であれば政府案は、8月に始まった消費者庁の検討会を踏まえるべきでした。ところが消費者庁の検討会が10月18日に終わり、その後から調査を始めたんです。まだ1カ月たってないぐらいです。夏の3カ月間政府は何をしていたのか、私はそこが不満です。ただ、茂木幹事長から「被害者救済をしたい」という熱意は伝わってくるので、世論は見ずに、被害者救済のためにどの法律がいいのかをしっかり確かめて、いい法案を出していただきたいという思いです

(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月17日放送)

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