新型コロナの感染者は増加傾向にあり、“第8波”の入り口と言われているが、実際、街のクリニックに来院するコロナ患者の様子は、第7波と比べるとどう変化しているのだろうか?
また、そんな中でインフルエンザの流行は?新型コロナの“分類見直し”については?
そんな、今知りたい“3つのギモン”について、現場の最前線で治療にあたっているグローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝医師に聞いた。

“第8波” 患者の数は?「重症感」は?

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グローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝 医師:
臨床症状に関しては、それほど変化はないと思います。ただ、問い合わせに関してはかなり減った印象ですね。受診される方に関しましては、私のところで受診歴がある方、あるいは自宅での検査で陰性だった方で発熱があるから…、そんな方が中心だと思います。
外来ですので重症の方は、直接は来ないんですけれども、ただ、つらそうな方とかが増えたっていう印象はないです。

なぜ、外来の患者は、それほど増えていないのか。自分で検査キットを買って調べて、軽症の人は自宅で隔離というケースが増えているのだろうか。

グローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝 医師:
そういう人が多いと思います。政府もそういう指針を出していますので、国民にもある程度、周知はされているのかと思います。

治療薬に関してはどういう状況なのか。

グローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝 医師:                   薬は、モルヌピラビル(ラゲブリオ)に関しては市場で流通するようになりましたので、病院で処方箋を出せば、薬局で手に入るようにはなっています。

意外と知らない「検査キット」“正しいタイミング”

発熱外来を逼迫させないためにも、検査キットを使い、軽症の場合に自宅療養することは望ましい。しかし、肝心の検査キットを正しく使っていない人が多いと、水野医師は指摘する。

グローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝 医師:
熱が出ると心配なので、すぐ使う方が比較的多いんですけれども、ある程度ウイルスが増えてこないと、抗原検査キットに関しては陽性にならないです。
従いまして、そういった方が多く来られるんですけれども、自宅では陰性だったけれども病院に来て検査すると陽性だとか。あるいは一日待ってからもう一回やってくださいよっていうと陽性になる方も多いですので、このあたりをしっかりと理解する必要があると思います。

また、同居家族などの濃厚接触者の場合は、3日目に使うのがよいという(オミクロン株の発症までの潜伏期間が約3日のため、3日目がより正確な結果が出る)。

インフルエンザ 大流行の兆しは…?

コロナ以前とコロナ禍での同じ時期を比べたインフルエンザの定点報告を見ると、2022年は、コロナ以前の2019年のレベルまではいかないものの、コロナ禍の前々年や前年よりは増加傾向にある。現在、インフルエンザ患者の来院の状況はどうなのか?

グローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝 医師:
ほとんどおられないんですけど、海外から帰ってきてすぐ熱を出した方で、コロナが陰性だった方でインフルが陽性って方は散見されていますね。

今後、インフルエンザの患者数が増えてくる可能性もあるが、実はコロナとインフルを同時に検査できるキットもあるという。

グローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝 医師:                   これはコロナの患者さんで、Sのところに赤いバンドが出てますので、これはコロナですね。AとBのところはインフルですので、AとBのところにバンドが出ればインフルエンザのAかB。一回の検査でわかります。

現場は「骨抜き2類」 見直しは必要か

水野医師は“第8波”を迎えようとしている今、「新型コロナを特別視しない」「すでに“骨抜き2類”、現場はもう5類」と提言する。

グローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝 医師:
コロナ発生届の改訂が9月末にありまして、今は全数把握ではないんですね。ですから事務作業としては非常に軽減されています。ですので、ほとんど季節性インフルエンザとそんなに変わらない業務量にはなっています。

一方、インフルエンザも増加すると発熱外来に人が集中、医療が逼迫するという懸念がある中、コロナをどこの病院でも診てもらえる「5類」に見直すべきではないのか。

グローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝 医師:
個人的には5類相当にしていただいてもいいんですけども、やはり2類のメリットもあります。
特に患者さんへの公費負担とか、あとは入院勧告等ですね。この辺りを踏まえながらですので。そうしたら2類、5類というよりかは、骨抜きのような状態で別枠で(分類を)もうけるのが一番いいのかなと思います。

そして、一番大切なことは…

グローバルヘルスケアクリニック院長・水野泰孝 医師:                  課題でもあるんですけど、新型コロナを特別視をしない方向性に持って行くべきだと思っています。

(11月20日「Mr.サンデー」より)