千葉県睦沢町に、これまで日本では使われていなかった“大豆”由来のなめし剤を活用している革工房がある。

「『革製品は一生物』だと聞くと思うんですけど、お客さまで亡くなった方がいて、一緒に(天国に)持って行ってもらおうとしたら、火葬してもらうことができなかった。海で亡くなろうと、山で亡くなろうと、地球に戻っていくものを作れば(天国まで)持って行ってもらえる」

こう話すのは、日本で初めて、大豆が原料のなめし剤を使用して総天然素材の革製品をつくる工房「革榮」の代表、辻榮亮さん。

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加工に使うなめし剤の多くは、加熱などにより有害な物質へと変質する恐れがある化学薬品が使われている。

「少しでも良い未来を残したい」

そう考えた革職人の辻榮さんは、これまで日本では使われていなかった大豆を原料とするなめし剤を使用することにした。

命を無駄なく循環

糸は天然繊維の麻を使用し、接着剤はにかわなどを利用して自ら配合。100%土に還る革製品を完成させた。

さらに、千葉に特化した地域商社「1008(センノハ)」を立ち上げ、害獣として駆除されたイノシシやシカの皮を買い取り、流通させる事業も始めた。

肉はジビエとして食べられていても、革は捨てられていたのだ。

取引先のKURKKU FIELDSの岡田修さんは、「皮を産業廃棄物としてお金を払って処分していたが、使ってもらえるのはうれしい」と話す。

命を無駄なく循環させる。

辻榮さんは、「(害獣を)捕って、食べて、作って、学んで、最後はちゃんと土に還す。還すからまた捕るというところに必ず循環していくので、この流れをきちんと事業化して、全国の獣害で困っている地域に出していきたい」と笑顔で話す。
 

工房「革榮」
https://www.kawazakae.com

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