自民党の佐藤正久参院国対委員長代行(元外務副大臣)は13日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、「ふるさと納税があるなら防衛納税の発想もあっていい」と述べ、防衛費増額の財源にふるさと納税の仕組みを活用する案を改めて披露した。

佐藤氏は「防衛自給率が悲惨な状況だ」と指摘し、将来的に増税や歳出削減などで返済する「つなぎ国債」の発行案にも言及。「国防は最大の福祉だ。ウクライナを見てほしい。応分の負担、安定的な財源が必要で、そこは(国民に)お願いしないといけない」と説明した。

9日に開かれた政府の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」(座長=佐々江賢一郎・元外務事務次官)の第3回会合で、財務省は「幅広い税目による国民負担が必要」と報告し、増税で防衛費増の財源を確保する姿勢を示している。

ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「国の根本は経済と防衛の二つだ。経済を弱くする形の増税には反対」と語った。その上で、「今は非常事態だ。赤字国債を出してでも必要な軍事費は防衛国債という形でやってもいいのではないか」と主張した。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
米国中間選挙は上院で民主党と共和党が競っているが、民主党がギリギリ多数派を維持するのではないかとの見方がある。下院は両党いずれもまだ多数派を取れていない状況だ。共和党のマッカーシー院内総務はウクライナ支援について「白紙のチェック(小切手)を切るわけにはいかない」と述べ、支援を絞ることを示唆している。下院で共和党が多数派になれば、米国のウクライナ支援が減るのではないかとの見方がある。

佐藤正久氏(自民党参院国対委員党代行、元外務副大臣):
より内向きになるのは間違いない。共和党はインフレ対策を重視して選挙戦を戦った。バイデン政権ではインフレを抑えることができないとして、バイデンのインフレーション=バイデンフレーションという言葉で批判してきた。共和党は外交も大事だが、内政を立て直すしかないと声高に言うと思う。共和党は当然、中国にはきついものの、ウクライナについては(民主党と)違うスタンスを取っているので、ウクライナ政策に若干影響が出ることは間違いない。

櫻井よしこ氏(ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長)
今回の選挙で最大のルーザー(敗者)はトランプだと、米国メディアは言っている。最大の勝者は、トランプに迎合することなく勝利した、デサンティス・フロリダ州知事や、フロリダ州の上院議員のマルコ・ルビオ氏らだと。

佐藤氏:
私は最大の勝者はロシア、中国、北朝鮮だと見ている。今回、共和党がある程度票をとって、米国の分断はさらに進む。米国が内向きになればなるほど、高笑いするのは、敵対しているロシア、中国、北朝鮮だ。分断はより進み、2年後の大統領選挙に向けて、さらなる衝突が深まると思う。

橋下徹氏(番組レギュラーコメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
米中間選挙の結果を見れば、共和党が大負けしているわけではなく、競っている。トランプが出てきて共和党の勢いが止まったのかもしれないが、トランプ前大統領はまだマシだと思っている人も多いという事だ。ロシアによるウクライナ侵攻は、日本に置き直して考えなければいけない。米国の政治状況により武器支援のあり方が変わってくることになると、ウクライナ側としては死活問題だ。日本も他国とタッグを組んで、特に日米同盟やその他の国とタッグを組むことは重要だが、武器、弾薬から何から頼り切ってしまうと、他国のコントロール下で自国防衛をやらなければいけない。ウクライナは確かにウクライナの自己決定でやっているのだというけれども、米国をはじめ西側が微妙にコントロールしながらやっているところがあるわけで、日本はそうならないように自国防衛をしっかり自分たちでやっていかなければいけない。

佐藤氏:
食料自給率とはよく言うが、防衛自給率が悲惨な状況で、立て直さないとならない。防衛自給率はどれだけか。弾薬や装備を含めて徹底的に見直さないとならない。

松山キャスター:
中間選挙の結果次第では、ウクライナ支援への影響だけでなく、日本の防衛費負担増のような形で対日姿勢への影響も出てくるのではないか。

櫻井氏:
共和党が下院を制したとしてもウクライナに対する軍事的支援の大幅な削減はないと思う。NATO(北大西洋条約機構)がどれほど困るか。米国はNATOの一員だ。ウクライナを負けさせるようなことになれば、中国は台湾、日本に対して“その気”になる。ウクライナに対する軍事的支援の大幅な削減はない。ただし、財政的支援は少し減るかもしれないなという感じを持っている。日本の国防費をどうするかについては、これこそ最大の教訓として、日本は軍事的に自分の国は自分で守れるところになるべく早く行かなければいけない。今、岸田政権のもとで、防衛費2%の議論が行われているが、軍事力を本当に強くするための防衛費増というものをしてほしい。見かけの数字だけ伸ばすのではなくて、本当に軍事力を強くするにはどういうことをしたらいいか、そのための金はどうか、という発想で議論しなければいけないが、どうもそのようになっていないような気配がある。

橋下氏:
岸田政権は「総合防衛費」とか何か変な概念を持ち出してきた。ちょっと佐藤さん、総合防衛で増えた、増えたっていうのはダメなのではないか。

佐藤氏:
めっちゃダメだ。

松山キャスター:
財務省などは形上2%に持って行くために総合防衛力と。

佐藤氏:
防衛力抜本強化の時に、防衛費の真水の部分が増えなかったら強化にならない。相手から見てほとんど変わってないではないかと。これは米国から見てもおかしいとなる。国防は最大の福祉だ。ウクライナを見てほしい。そのためには応分の負担、安定的な財源が必要で、そこは政治家として国民にお願いしないといけない。ただ、それは、いまか、という議論はあるので、例えば、同じ国債でも、つなぎ国債のようなものなど様々な発想がある。

松山キャスター:
増税でやるのか、あるいは、国債でやるのかという議論がある。防衛費を増やすためにどういう形でやるのか。

佐藤氏:
議論はあるが、増税という部分、国債と絡める部分も当然ある。加えて、節税という部分もある。例えば、ふるさと納税があるなら防衛納税もあればいい。そういう発想があってもいい。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
それは納税者が何かしら選べるようにするということか。

佐藤氏:
自衛隊の福利厚生のために一部納税しましょうよと。

櫻井氏:
国の根本というのは、経済と防衛2つだ。だから経済を弱くするような形の増税には反対。今は本当に非常事態だから、赤字国債を出してでも必要な軍事費は「防衛国債」という形でやってもいいのではないか。要は、日本の経済と軍事、両方を守って強くするという発想でやってもらわないと。岸田首相の下で日本が弱体化したら困る。

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