乳幼児や幼児の間で流行することが多い感染症の1つに「ヒトメタニューモウイルス」がある。そのウイルスが今、福井県内で季節外れの流行をみせている。専門医に対策を聞いた。

絶対に侮れない「ヒトメタニューモウイルス」

「ヒトメタニューモウイルス」とは、2001年に発見された比較的新しいウイルスで、症状は風邪とよく似ているが、重症化すると呼吸困難や肺炎を併発する恐れもある。

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取材に訪れたのは、福井県済生会病院の小児科主任部長、岩井和之医師。

県済生会病院 岩井和之医師:
ヒトメタニューモウイルスは乳幼児がかかる風邪ウイルスの一種で、1~2歳くらいで1度は感染し、3~4歳になるまで毎年繰り返し感染する

特徴的な症状は、1週間ほど続く非常に強いせき。特に夜間はせき込んで吐いてしまうこともあるという。また、38度~39度の高熱が4、5日続くこともあげられる。

ヒトメタニューモウイルス感染の判断は、新型コロナウイルスのように抗原検査をしないと結果が分からず、ただの風邪と診断されることもある。

県済生会病院 岩井和之医師:
一番やっかいなのは「喘鳴(ぜんめい)」といって息遣いが苦しくなる場合がある。呼吸困難の症状を起こし、肺炎を併発する恐れもある。入院が必要になり、酸素吸入するくらい症状が重くなる場合もある。侮れません

実際に県内の保育施設で「これまでに何人くらい感染したか」現場の声を聞くと、「感染したのは5人だが、風邪と診断されている子の中で同じような症状の子もいる。ここ数年は流行が見られていなかった」との回答だった。

コロナ禍の影響で免疫を持った子どもが減っている

ヒトメタニューモウイルスは、1年中感染が確認されている。しかし実は本来、感染のピークは春先から梅雨にかけてだ。なぜ今、季節外れの流行を見せているのか、明確な原因は不明だが、この数年間にヒトメタニューモウイルスの流行が見られていないことに関係があるという。

県済生会病院 岩井和之医師:
1つだけ確実に懸念されるのは、ヒトメタニューモウイルスの免疫を持たない方がコロナ禍の2年間で増えているということ。ある程度、免疫を持っている子どもがいれば大流行はしないだろうが、ほとんど園ごとで地域流行が確認できるくらいの状況にある

対策は手洗い、うがいの徹底など新型コロナ対策と同じです。ただ、マスクを着用できない乳幼児の場合は感染対策が正直難しいところ。症状に心当たりがある場合は、早めに医療機関を受診することが求められる。

県済生会病院 岩井和之医師:
感染対策、手指衛生を徹底し、感染を予防するように努めてほしい

重症化リスクは乳幼児だけではなく、面倒を見る大人も注意が必要だという。特に高齢者は基本的な感染対策を徹底する必要がある。

(福井テレビ)

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