ファッション通販サイトを運営する「ZOZO」が、初めてリアル店舗を出店。なんと、“服を売らない”ショップだ。

AIとスタイリストが「似合う」を提供 無料で完全予約制

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ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは、初のリアル店舗を東京・表参道にオープンすると発表した。
この「niaulab(似合うラボ) by ZOZO」は、服を売らない新たな形の体験型店舗。独自のAI=人工知能とプロのスタイリストが、一人一人に似合うスタイリングを提案するサービスが、無料で受けられる。2時間以上貸し切りの完全予約制で、スタイリングに使われたアイテムはその場で買うことはできないが、後からZOZOTOWNで購入できる。

ZOZO・澤田宏太郎 社長兼CEO:
“買う”ではなくて、やはり我々は“似合う”を届けることに、ビジネスをやっていく価値がある。まずは対面・リアルという場を生かすことで、このサービスを提供しようと

12月16日にオープンし、予約の受け付けも同時に開始する。

ネット通販再成長への起爆剤になるか…リアル店舗は“選ぶ場所”に?

このニュースについてLive News αでは、マーケティングや消費者行動を研究している一橋ビジネススクール准教授の鈴木智子(すずき・さとこ)さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
ZOZOの、洋服を売らずに「似合う」が見つかるお店、鈴木さんの目には、どう映っていますか?

一橋ビジネススクール 准教授・鈴木智子さん:
まずZOZOの狙いとしては、リアル店舗への進出によって、ネット通販事業を再び成長させる起爆剤としての期待があるように思います。このリアル店舗を通じて、顧客への提案情報の収集とデータ分析を進めると、AI機能を強化することが可能になります。
これをネット通販に生かすことで、新たな成長を図ろうとしているように思います

ーー今回のZOZOもそうですが、いまAmazonやアリババなども、リアル店舗への進出を加速させていますよね

そうなんですよね。ネット通販における“当たり前”をリアル店舗に持ち込むことで、消費者の不満を解消することが出来ます。
例えば今回の試みでいうと、“似合う”洋服が見つかった後に、オンラインで購入します。すると、かさばる荷物を持って帰る必要がないので、その後も街歩きを楽しむことができます。
何よりも、対面販売が最も嫌われる理由の一つは、販売員に勧められたものを「買わなきゃ」というプレッシャーがあること。これから解放されます

ーー確かにそうですね、私たち消費者が感じている不満が解消されると、買い物の満足度も高まるかもしれませんね

豊かな買い物体験、これは“利便性”と“楽しさ”の向上、という言葉に言い換えることができます。そして、この2つをクリアするために、小売業界はオンラインとオフラインの融合に向かっています。
今回は、アパレルのネット通販で成長してきたZOZOが新たにリアル店舗を展開することで、消費者に、目で見て・手で触って・そして実際に試着できる“利便性”を提供できるようになります。
さらにショップのスタッフや友人にアドバイスをもらって新たな発見をしたり、丁寧なサービスを受けて嬉しくなるなど、楽しい時間も過ごせるようになります

ーー買い物の際、オンラインとオフラインの使い分けが当たり前になりました。ここで選ばれるための鍵は?

今回のZOZOの「売らずに、似合う」が見つかるお店は、※ショールーミング機能を特化させた、これまになかったリアルな店舗です。今後は小売業界の常識を覆す新たなサービスで、消費者の“便利”で“楽しい”買い物体験、これをどれだけ高められるかがポイントになってきます
(※ショールーミング…客が実際に店舗に足を運んで、商品の性能や価格などを確認してから、実際の購入はオンラインで行う流れのこと)

三田友梨佳キャスター:
リアルなお店というのは、買う場所ではなく選ぶ場所として、リアルとオンラインの融合が進んでいくのかもしれません

(「Live News α」2022年11月9日放送分より)