大阪市の小学校で、ヒヤっとする事件が起きた。校門のインターホンを鳴らして通された男が、校内で大暴れした。”池田小事件”を機に求められるようになった危機管理。不審者の侵入を防ぐマニュアルは、どこまで徹底されているか、教育現場を取材した。

小学校に不審者が侵入 学校の対応は

事件が起きたのは、10月24日の午前8時45分ごろ。大阪市鶴見区の小学校に50代の男がやって来て、校門のインターホンを鳴らして「忘れ物を届けにきた」と言った。

対応した職員はこの言葉を信じ、子供の名前やクラスなどを確認せず、門の鍵を開けてしまったということだ。

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男は中に入ると大声を上げたり、上半身裸で暴れたりして校内は騒然とし、駆けつけた警察官に逮捕された。子供たちにけがはなかった。

結局、男は保護者ではなく、学校は「保護者に発行している入校証を持っているか確認するべきだった」としている。

開けっ放しの校門から…「池田小事件」の教訓

学校の安全対策は、試行錯誤を繰り返してきた。

2001年6月、大阪教育大学附属池田小学校に刃物を持った男が侵入し、児童8人が死亡、15人がけがをした事件では、校門が開けっ放しだったことなど安全対策の課題が浮き彫りとなった。

この事件をきっかけに、文部科学省は各学校に危機管理マニュアルの作成を義務付けた。

児童の安全が最優先

マニュアルの作成・運用は、どこまで徹底されているのか。

大阪市福島区の小学校では、来校した保護者に対して子供のクラスや担任の名前などを確認することをルールにしている。

大開小学校 坂本拡介教頭:
はい、職員室です

来校者:
3年2組のイハラの保護者です、忘れ物を届けに来ました

大開小学校 坂本拡介教頭:
児童名をフルネームでお願いできますか?

来校者:
イハラレイコです

大開小学校 坂本拡介教頭:
確認できました、入校証の提示をお願いします

来校者:
はい

大開小学校 坂本拡介教頭:
ありがとうございます、開けます

大開小学校 坂本拡介教頭:
忘れ物を持ってきてくださるというパターンが多いです。名前を言っていただくことと、要件を確実に確認します

入校証の提示を必ず求めることなどを定めたマニュアルを作っていて、毎年、職員で話し合って更新しているということだ。

一方、限られた職員数で対応することへの難しさもあると言う。

大開小学校 永原哲也校長:
常に複数の人数がいる状況ではないときもあるので、効率良く業務を進めつつ、そうしながらも安全は何より大事なところなので。子供たちの安全を第一優先に考えて対応していきたい

義務付けられた確認事項 

子供たちの安全は、どうすれば守られるのか。

来校者への対応に関しては、文部科学省のマニュアルがある。マニュアルでは、「子供の学年・組・氏名」、「来校者が名札を着用しているか」、「不審物を持っていないか」などの確認を求めている。

今回事件が起きた小学校では、こういった確認がしっかりなされていなかったが、事件が起こった朝の時間というのは、学校にとって非常に忙しい時間のようだ。

安全対策を徹底しているという福島区の大開小学校では、10月27日の朝、遅刻児童6人、忘れ物を届けに来た保護者5人、業者4人、その他3人と、合計18人の来校があり、職員の対応が必要だった。

朝の時間は、先生たちが各教室に行くため、職員室の先生の人数が減る。そんな中で来校者が重なると、職員室が空になることもあるそうだ。

大開小学校の永原校長は、「忙しい業務の中、少人数で対応するのは厳しい。守衛を置ければ安心だが、費用面で難しい」と話す。

子供たちの安全を守るため、教育現場の試行錯誤が続く。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月27日放送)

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