10年前、京都府亀岡市で起きた無免許の少年による車の暴走事故。京都家庭裁判所が、少年らの記録を廃棄していたことが分かった。事故の遺族は、連絡もなく破棄されたことに憤りを感じている。専門家は、資料がその後の法整備に与える影響を指摘する。

今度は「亀岡暴走事故」でも…

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2012年、亀岡市で当時18歳の少年が無免許で車を居眠り運転し、集団登校中の児童らの列に突っ込んで、児童2人と付き添っていた女性(当時26)が死亡した。

車に乗っていた少年や、車を貸した少年ら6人が逮捕され、3人が有罪判決を受けた。

ほかの3人は京都家庭裁判所が保護処分としているが、この3人に関する事件記録などの全ての資料が、2019年から去年にかけて廃棄されていたことが分かった。また、有罪判決を受けた3人についても、家裁調査官による調査記録が廃棄されていたということだ。

無免許運転に関する罰則が強化される契機となった事件。最高裁は、社会的な影響の大きい少年事件の資料について、事実上永久に保存する「特別保存」を義務付けている。

京都家裁は、「廃棄の経緯は分からない。経緯を調べるかも決まっていない」としている。

事故で娘(当時26)を亡くした中江美則さんは、「法整備にもつながった事案なのに、遺族に連絡もなく廃棄したことに憤りを感じる。一番守ってほしかった司法に裏切られた気持ち。廃棄されたのは少年が刑務所から出ていない時期で、更に憤りを感じる」と話している。

各地で判明した同様の事態 最高裁は

神戸連続児童殺傷事件を始め、少年事件の資料の廃棄が相次いで判明している。10月20日は「調査は考えていない」という姿勢だった最高裁だが、26日には一転し、「保存のあり方が適切か有識者に評価してもらう」とした。

また「特別保存」された少年事件は、2000年に発生した当時17歳の少年による「西鉄バスジャック事件」や2015年に兵庫県で発生した、当時16歳の少年が無免許運転で男性をひき逃げし、死亡させた事件などの15件であることが明らかになった。

 廃棄の重大性と保存の重要性について、報道ランナーに出演する菊地幸夫弁護士は…

菊地幸夫弁護士:
少年事件は現在、厳罰化などの法改正の議論もあり非常に動いている分野です。将来、「あの事件はああだったから、こういうところを変えよう」といった振り返りをする、歴史的な評価の対象というか、その後の法整備に与える影響は少なくないと思うんです。残しておく価値は高いと思うんですが、最初に最高裁が「調査は考えていない」としたことは、資料が後世に与える価値をどう考えているのか、疑問になります

(Q.92年につくった基準はあいまいで、最近になって「主要日刊紙2紙以上が報じた事件」といった基準もできたようですが、もう少し線引きがあってもいいのでは)
菊地幸夫弁護士:

記事として掲載された回数だけではなく、内容に踏み込んだ評価の基準をつくってもらいたいですね

 (関西テレビ「報道ランナー」2022年10月26日放送)

関西テレビ
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