カカオの奥深い世界が広がる体験型店舗がオープンする。

味や風味の違いを体験

東京・渋谷に10月29日、ロッテが初めてオープンするのは、チョコレートの原料・カカオの専門店「LOTTE DO Cacao STORE」。

ロッテ マーケティング本部・成田彩子さん:
カカオの新しい一面に触れ合える、体験できるような場をこのストアで提供できれば。

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店内では、産地による味や風味の違いを楽しめるスイーツやドリンクを用意。
飲み比べると、ガーナはコクが深くまろやかで、やさしい味わいに。それに対してパプアニューギニアはレーズンのようなフルーティーな香りがして、酸味も強く印象に残る。

こだわりは、商品だけではない。

チョコレートの製造過程で発生するカカオの豆の皮、カカオハスクを店内の壁や紙袋などに有効活用。店員が着用するユニホームもカカオハスクで染めたものを採用している。

さらに、消毒用のスプレーもカカオハスクから精製したエタノールを一部使用している。

実は2015年から、カカオの可能性を広げようと「DO Cacao Project」を立ち上げ、さまざまなサステイナブルな取り組みを行ってきたロッテ。渋谷に専門店を構えることで、より多くの人に取り組みを知ってもらいたいと語る。

ロッテ マーケティング本部・平井秀治部長:
最近の若い人を中心に、モノを購買する価値観が商品が優れているということだけではなくて、企業活動の背景をよく見られているので、僕らは実はそういうことをやってきたことを伝えることが下手だったので、わかりやすく伝える場になれば、購買にもつながっていくと思っています。

五感を刺激しブランドの世界観を訴求

三田友梨佳キャスター:
ここでは一橋ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。メーカーが直営店をもつ今回の試み、鈴木さんの目にはどう映りましたか?

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
いまメーカーと小売の役割が曖昧になりつつあります。
これまでは商品が顧客に届くまでのチャネル、流通ルートでは、製品の輸送や保管、販売とプロモーション、さらには売れ残った場合のリスク負担などの機能をメーカー・卸・小売店の3者で分担してきました。

それが今、メーカーが卸と小売店を介さない直営店を持つ動きが加速しています。
例えば、アップルやナイキなどは販売の多くを小売店に頼る一方、大規模な直営店を持っています。

メーカーにとって直営店での販売は、間違いなくコストもリスクも増えます。にもかかわらず、なぜメーカーは店舗を持つことに力を入れるのか。これはブランドの強化のためなんです。

三田キャスター:
直営店を持つことによってなぜ、ブランドが強化されるのでしょうか?

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
例えば、スポーツショップやシューズの専門店では棚に様々なスニーカーが並んでいます。そこにあるナイキのスニーカーも比較対象の1つになってしまって、そのまま埋もれてしまうケースも否定できません。

直営店を持つ何よりのメリットは、ブランドの世界観をマルチセンサリー、五感を刺激することによって顧客に訴えることが可能になることです。

三田キャスター:
今回の試みもチョコレートの原材料であるカカオの魅力を体験できる店舗になっているようですね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
食品の場合、目で楽しみ、鼻が喜び、口で満足する。こうした体験こそブランドに対する満足度やロイヤルティーを高めます。

さらに、今回の試みでいうとカカオに関する情報を提供することでチョコレートなどをより美味しくする“ウンチク”という“隠し味”を手にすることも出来ます。

マーケティングの研究では体験型の店舗で購入した消費者は、オンラインでも同じ商品を再び購入する傾向があることが分かっています。やはりリアルな体験にまさる顧客への訴求はないようです。

三田キャスター:
オンラインでは限界がある体験の価値をいかにして提供できるのか、ネットショッピング時代の今、店舗を構える意味はここにあるようです。

(「Live News α」10月25日放送分)