最新の肌解析から専属スタッフによるカウンセリングまで。花王がスキンケアの体験型サブスクサービスを始める。

パーソナライズ化されたサブスク

新たなサービスは、年額30万円のサブスクリプション制で、採取した皮脂と角層から今の肌の状態や不調の原因がわかるという「花王」独自開発の肌解析を受けられるという。

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また、専属スタッフが薦める自分に最適なスキンケア商品を44万円分購入することができる。さらに、新しいサービスでは、フェイシャルトリートメントを年に7回受けることもできる。

専属スタッフは年間を通じて、店頭のほか、LINEでも肌の悩みに答えてくれるという。

花王によると、デジタルの発達でさまざまな美容情報が簡単に手に入るようになった一方で、商品が本当に自分に合うものかわからず不安を抱える客が増えているという。

花王est ブランドマネージャー・清原麻紀子さん:
化粧品のサブスクというと毎月決まった商品が届くものが多いですが、顧客体験型のサービス、しかもそれがパーソナルにまで昇華されているのは新しいと思います

最新やお得よりも『最適』を提供

Live News αではマーケティングや消費者行動を研究している一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
「最良のお肌」を目指すサブスクサービスをどうご覧になりますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
マスクの着用やテレワークの普及などによりファンデーションを使わず素肌を綺麗にしたいという方が増えたため、スキンケア商品は前の年と比べて増加が見込まれています。これまでは、お肌の若返り効果を狙ったものが人気でしたが、近年は1人1人の肌にあった優しいスキンケアが求められています。今回のサブスクはそうしたニーズに応えるスキンケアのトータルサービスといえます

三田友梨佳キャスター:
様々な定額制のサービスがありますが、化粧品とサブスクの相性はいいのでしょうか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
コスメの定期便とも呼ばれる化粧品のサブスクは、世界的に人気の高いジャンルの1つです。こうしたサブスク事業が盛り上がっている背景には、消費者の志向が自分のモノにする「所有」よりも、利用することで得られる「価値」を重視するようになったことが影響しています。これをマーケティングでは 「リキッド消費」と呼んでいます

三田友梨佳キャスター:
重視する対象が変化する中で、化粧品でサブスクが成功するためのポイントはどういったところにありますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
サブスクビジネスのポイントは、新規顧客の獲得よりも既存顧客の満足を引き出して、解約率を下げることにつきます。これまでの化粧品のサブスクは最先端のコスメを試せたり、お得に利用できるなどの価値を提供するものが多かったのですが、今回の花王の試みは美肌を得るという、より本質的な体験価値を満たすものなのかもしれません

三田友梨佳キャスター:
化粧品ビジネスも消費者の変化に合わせて変わることが求められているようですね?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
化粧品が普及した高度経済成長の頃は消費の広がりを表す「最大」が求められ、その後のバブル期には差別化を図るため高い品質を誇る「最高」が重視されるようになりました。そして今は、それぞれの顧客にとっての「最適」をどうやって提供するかが問われるように変わりました。今回のスキンケアのトータルサービスも、顧客にスキンケアの「最適」を提供するアプローチの1つと言えるように思います

三田友梨佳キャスター:
お肌は環境の変化などで日々状態も変わる中、自分の肌の状態に本当にあった対策ができているのかわからない方も多いと思います。必要なスキンケアの要素をパーソナライズ化できるサブスクというのは、その価値も大きいのかもしれません。

(「Live News α」10月5日放送より)