今、若い世代でグミが大流行している。「味」だけでなく「音」を楽しむグミや、グミをきっかけにコミュニケーションが作られる、「グミニケーション」という言葉まで。
若い世代がグミにハマるワケを調査した。

市場規模が10年で2倍に

定番から、「サムギョプサルみたいなグミ・イチゴ」といった変わり種まで。ドン・キホーテのお菓子売り場は今、グミで埋め尽くされている。

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ドン・キホーテ梅田本店 グミ担当:
全部合わせると250種類以上取り扱っております。もともと人気なんですけれども、今年の3月ぐらいからさらに人気が高まって、“SNSのバズりコーナー”を拡大して、売り上げも上がっています

LOFTでも、「グミウィーク」として全国に特設コーナーを設けるなど、若い世代を中心に広がるグミブーム。
市場規模はこの10年で2倍に増加して620億円に達し、ついにガムを追い越したという。新商品は、年間500種類も発売されているんだとか。

グミブームのきっかけとなったのは、「地球グミ」。一時は売り切れが続出した。地球グミと同じ理由で、今、韓国生まれのグミが人気なんだそう。
吉原アナは、マンゴー味のフルーティーグミを食べてみた。

吉原アナ:
味、しっかりマンゴー。果物のような食感じゃなくて、やわらかくしたマシュマロ食感のマンゴー

キーワードは「ASMR」…SNSが人気のきっかけに

若い人たちに人気の理由を聞いてみると、共通して出てきたキーワードは「ASMR」。

高校生:
音で楽しむ
かんで開けるときの音がいい。ぱかーん!みたいな
ASMRっていう音だけを楽しむ動画があるんですけど、それで結構使われたりします
音が気持ちいい

若い世代でバズっているのが、グミを食べる“音”を楽しむための「ASMR動画」。開ける時の「パカッ」という音や、咀嚼(そしゃく)するときの「シャリッ」「ガリッ」といった音に、「ゾクゾクする」「癒される」とハマる人が続出しているそうで、「味」だけじゃなく「音」も楽しんでいるのだ。

さらにインタビューを進める中で知名度抜群だったのが、「水グミ」。一時は、どの店でも品薄になったほどの人気というが、どんなグミなのだろうか。販売元の「UHA味覚糖」で、試食させてもらった。

吉原成兼アナウンサー:
面白い!徐々にぶどうの味が出てきて、かめばかむほど“ぶどう”。どんどん変化していく、楽しめますね

10年前と比べると、グミの売り上げが約4倍になっているというUHA味覚糖。おやつ感覚で栄養素を摂取できる「UHAグミサプリ」や、大阪大学などとの共同研究による「咀嚼能力測定用グミゼリー」など、大人向けの健康を意識したグミも開発している。

とはいえ、ブームの中心は「若い世代」だそうで…

(Q.グミ人気は、やっぱりすごい?)
UHA味覚糖 マーケティング担当 西田優子さん:
そうですね、今すごく感じています。SNSのグミの関連ワードが、1年前に比べて2倍以上の投稿数で。グミの市場がすごく拡大しているなと実感しています

(Q.「水グミ」は、どういうバズり方をしたんですか?)
インスタとツイッターで、見た目がカワイイというところで
(Q.会社として、何か仕掛けをしたんですか?)
実はこの水グミに関しては、弊社から特に何もしていなくて。SNS上で皆さんがアップしてくださったことが元となって、バズっていったという流れになります

若い世代のグミブームは、やはりSNSがきっかけのようだ。

「グミニケーション」が平和を保つ?

グミ人気で、「日本グミ協会」なるグループまで。SNSの発信で会員を増やし、現在は2万人超えなんだそう。これほどまでにグミに魅了される人が増えているのはなぜなのか、名誉会長に聞いてみた。

日本グミ協会 武者慶佑 名誉会長:
僕たちはグミを、味も色も形も弾力も本当に答えのない、自由なお菓子というふうに思っていて。「私はこのグミを持ってるけど、よかったらひとつ食べてみない?」みたいに、グミを通してコミュニケーションを作れる。それを僕たちは「グミニケーション」と呼んでます

グミを通してコミュニケーションが生まれる「グミニケーション」が、大きな魅力だと言う。実際、若い世代ではグミニケーションが広がっていた。街で話を聞いた。

「友達とシェアしたり。みんな大体グミ持ってきてるんで、味を交換したり」
「自分が絶対買わへん味を買う子がくれて、『あ、おいしい!』みたいな。新しく発見できたりする」

「果汁グミは、普段の糖分補給用で。海外のは友達とかに会うとき『これおいしかったよ』って薦める用で持ち歩いてます。大学入ったときは全然コミュニケーション取れなかったんで、『お菓子とかいる?』とかでスタートして仲良くなった」

「みんなにも食べてほしいなっていうのもありますし、『おいしいな』って共感したらうれしい。共感も思いやりもありますし、取りあえずみんなにも食べてほしい」
「Sharing is caring」
「そんな高い値段でもないですし、場所とるものでもないんで、持ってたりする人も多いし、『1個あげるわ~』ぐらいの感覚で。そういう会話多いっすね、グミの。『これ食べてみ~』とか、『これおいしいねんけど』って会話の方が、個人的な話より、スッと会話しやすい」

おすすめのグミを交換したり、魅力を伝えあったり。グミはひとつの「コミュニケーションツール」になっていた。

Z世代の流行などを研究する専門家は…

博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 森永真弓 上席研究員:
若い人たちは特にネット常駐型なので、コミュニケーション量が昔より密になったんですよ、大人たちよりも。実は結構ネタが必要なんですね、会話のために。
今やっぱり、コロナだったり戦争があったりで、ワクチンを打ちたいのか打ちたくないのかとか、マスクしたいのかしたくないのかとか、思わぬ断絶が身近にあって。実は今、日常会話に困るようになっちゃってるんです。
グミって語るものが多いんです、味だけじゃなく食感とか。たわいもない会話の材料として、非常に場が持つんです。“和を保ってる”っていうのが、多分いいんだと思うんです。けんかせずに、グミのおかげで今日もコミュニティーが平和に保たれています、みたいな。そんな言語化されてはいないと思いますけど、そういう感じはあるかな

若い人の間では、大阪のおばちゃんの「アメちゃんいる?」のようなコミュニケーションのツールとして、グミが使われているようだ。
自由なお菓子、グミ。若者世代に平和をもたらすアイテムになっていた。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月20日放送)

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