政治分野のジェンダーギャップ指数が146か国中116位の日本。この指数は「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野のデータから作成されているが、「政治」分野での遅れの大きな理由となっているのが女性議員の少なさだ。
8月4日に参議院議員会館で行われた超党派の女性議員によるクオータ制(女性に一定の議席を割り振る制度)勉強会を取材した。

勉強会に出席したのは、自民党・三原じゅん子議員、立憲民主党・辻元清美議員、公明党・伊藤たかえ議員、日本維新の会・石井苗子議員、日本共産党・吉良よし子議員、国民民主党・矢田わか子前議員、社会民主党・福島みずほ議員。そのほか、勉強会で座長を務める田原総一朗氏、事務局長を務める長野智子氏が出席した。

女性議員増加の法案成立も落選・・・厳しい選挙戦

2021年5月にクオータ制勉強会のスタート時からのメンバーだった立憲民主党の辻元清美議員は、昨年10月の衆院選で落選、今年7月の参院選で当選して勉強会に戻ってきた。一方、「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」の事務局長を務め、2021年6月に議員立法で成立した「政治分野の男女共同参画法」の一部改正法案の法案成立に奔走した国民民主党の矢田わか子元議員は、今年7月の参院選で落選し、前議員としてクオータ制勉強会に参加した。

7月の参院選で落選した矢田わか子元議員と参院選で当選して国会に戻ってきた辻元清美議員が、勉強会の前に挨拶を交わした。
7月の参院選で落選した矢田わか子元議員と参院選で当選して国会に戻ってきた辻元清美議員が、勉強会の前に挨拶を交わした。
この記事の画像(8枚)

参院選で女性議員が感じた厳しい現実

厳しい参院選を戦った議員から報告されたのは、実際の選挙戦の中で感じたジェンダー平等からはほど遠い現実だったという。

自民・三原議員:「女性議員を増やすということに関して自民は消極的。努力は見えなかったわけではないが、決して女性にプラスの面はなかったというのが参院選当事者の肌感覚。みなさんも同じように厳しい状況の中で女性候補者が戦ったと聞いている。まず党内でクリアしなければいけないことがたくさんあるので、勉強したことを党に持ち帰りたい」

維新・石井議員:「参院選では、女性の時代と言われていることと現実のギャップを感じる日々だった。日本を取り戻そう、昔の古き良き時代を尊いものとして、男性を励まし支えることが大和撫子で、夫婦別姓などとんでもない、という空気を選挙中に感じた。現実的に、クオータ制を実現できるのか、どうしたらいいのかと感じている」

「クオータ制導入」のためのハードル

また出席者からは、女性に一定の議席を割り振る制度「クオータ制」を導入するための一番のハードルは自民党の同意をとりつけることだという指摘もあった。

国民・矢田前議員:「政治分野の男女共同参画法の立法と改正にあたってきた経験から言うと、自民党を突破することが簡単ではない。候補者女性割合の『党の目標』公表義務化さえ飲んでくれなかった。候補者の割合を義務化するクオータ制どころではない。それでも我々が理想を掲げることは効果があると思う。法律が実際に機能していたのか、検証して進めていきたい」

勉強会では各議員から意見があり、今後クオータ制実現や選挙制度見直しの具体的な提案を作成する方向になった。

立憲・辻元議員:「クオータ制勉強会では、議員立法を目指して日本に適したクオータ制の具体的な成果物を作って提案していきたい。世界160カ国でクオータ制があり、かつて女性議員が少なかったドイツやフランスなどで女性議員の割合増加に成功している。立候補者の女性の割合に応じて政党助成金でインセンティブを与える方法、またはペナルティを科す方法など様々だが、勉強して日本に適したクオータ制を考えたい」

社民・福島議員:「比例の方が小選挙区よりも、小政党や女性が活躍しやすい。選挙制度を俯瞰して見直すことにも取り組みたい」

公明・伊藤議員:「ジェンダーの問題は、世論の意見も大切だが、政治がリードして社会の意識を変えていく必要がある。女性の地方議員を増やすことも検討していきたい」

「選択的夫婦別姓」「妊娠・出産に関わる法律」 女性議員が求める政策は・・・

また、政治家に女性が少ないことで、女性が求めている法律や制度が成立しにくい例が挙げられ、改めて政治分野に女性が必要な理由について議論された。

社民・福島議員:「選択的夫婦別姓は若い世代の中で求める声が大きいが、国会の中の意識が一番アップデートされていない。女性議員が少ないことが影響している」

共産・吉良議員:「若い世代からジェンダー平等を求める声は大きい。例えば、中絶の配偶者同意撤廃について国会質問した動画が、SNSで若い世代に多く見られていた。中絶など女性に関わる課題を解決したいという機運が国民に広がっているので、課題の当事者である女性を政治の場に増やさなければいけないことは、説明すれば国民に伝わると思う」

国民・矢田前議員:「一般の意識も課題で、SNSなどでクオータ制のことについて、『結果としての平等にならない』と否定的に返してくる人が非常に多い。国会での本質的な議論を深めて、政治分野での女性が必要な理由を伝えていく必要がある」

「自民、公明、維新」で女性立候補者割合が内閣府の目標値35%に届かず

「政治分野の男女共同参画法」の成立と改正によって、各党の女性立候補者割合に改善は見られたのだろうか。総務省の選挙データから、法改正の前後を含む過去5回の国政選挙の主な政党別の立候補者と当選者の女性割合を調べた。

「立候補者の女性割合」について、政府は2025年までに35%にする努力目標を定めているが、2022年夏の参院選では、再選を目指す現職男性を多く抱えている事情もあり、自民、公明、維新の3党は届いていなかった。

7月に発表されたジェンダーギャップ指数の政治分野146か国中116位の日本。超党派の女性議員の取り組みは続く。

【執筆:フジテレビ ニュース総局メディアソリューション部 岸田花子】