12日午前9時50分、鹿児島・肝付町の内之浦宇宙空間観測所から、国産ロケット「イプシロン6号機」が打ち上げられた。

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打ち上げから約6分半後に「破壊」

イプシロンとしては初めて、民間企業や学校が開発した8基の人工衛星を搭載した6号機。

多くの人が待望の打ち上げの瞬間を列島各地から見守った。

鳥取県の米子工業高等専門学校でも、学生らが打ち上げの瞬間を見守り、ロケットが打ち上げられた瞬間には会場から拍手がわき起こった。

ところがその直後、祝福ムードは吹き飛んだ。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の担当者は、「『指令破壊』信号を出したということです。破壊されたかどうかも含めてまだ分からない」と説明した。

JAXAによると、打ち上げ後にロケットに異常が発生。正常な飛行が続けられなくなったと判断し、打ち上げから約6分半後、ロケットの機体を破壊するよう地上から信号を送ったという。

米子高専も“大喜び”から一転……。

米子高専・電気制御工学科の徳光准教授は、「破壊信号送信とのアナウンスだそうです」「たぶん空中で爆破破壊をしたのだと思うんですけど……」と説明したが、突然の事態にただ呆然とするばかりだった。

“地上に危険生じる可能性”で「破壊指令」

今回、全国8つの高専が共同で、超小型人工衛星「KOSEN-2」を開発。イプシロンで打ち上げ、海底の地殻変動のデータを集める予定だったという。

イプシロンの打ち上げ失敗は、今回が初めて。日本のロケットに破壊指令が出されたのは、2003年11月の「H2Aロケット6号機」以来19年ぶりのことだ。SNSでは、聞き慣れない「破壊指令」というキーワードを含んだ投稿が急増した。

和歌山大学の秋山演亮教授によると、「破壊指令」はいわゆる“自爆命令”のことで、ロケットが制御不能になった場合に、安全な場所に落とすための緊急措置だという。

宇宙への旅の始まりに何が起きたのか――。

午後、JAXAは会見を開き、最初の分離段階までは計画通りだったが、その後異常が発生したことを明かした。

担当者は会見で、「2・3段分離前に目標姿勢からずれ、地球を周回する軌道に衛星を投入できないと判断し、地上からの指令破壊を送出しました」と説明。異常によりロケットがどこに行くかわからなくなり、地上に危険が生じる可能性があったため、破壊指令を出したという。

ロケットは、フィリピン東方の海上に落下したとみられている。

(「イット!」10月12日放送)