10月下旬に静岡・富士宮市で、将棋の竜王戦が開催される。富士宮市は竜王戦を盛り上げようと、藤井聡太五冠に提供する「おやつ」候補を決めるコンテストを開いた。最終候補に選ばれたおやつとは。

富士宮市役所でおやつの試食会

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9月15日、静岡・富士宮市で開かれた試食会。

池田孝記者:
これは、藤井竜王に食べてもらう、おやつの試食会です」

割烹旅館・たちばな(静岡・富士宮市)
割烹旅館・たちばな(静岡・富士宮市)

10月28日と29日、富士宮市の割烹旅館「たちばな」でおこなわれる将棋の竜王戦。

開催地の富士宮市は、竜王戦を盛り上げようと、藤井聡太五冠や挑戦者に食べてもらう「おやつ」の候補を選ぶコンテストを開いた。

藤井五冠のタイトル戦で注目されるおやつ

王位防衛時の藤井五冠
王位防衛時の藤井五冠

藤井五冠は9月5日と6日、静岡・牧之原市でおこなわれた王位戦でタイトル防衛をはたした。その時、食べたランチやおやつも注目を集めていた。

おやつコンテストには地元の菓子店などから38品がエントリー。
約20日間にわたり、市役所の投票所やインターネットによる投票が行われ、全国から9439票が寄せられた。

富士宮市・佐野室長:全国から投票があり驚いた
富士宮市・佐野室長:全国から投票があり驚いた

富士宮市企画戦略課・佐野和也室長:
私たちが予想していたより、はるかに多く全国から投票をいただいて、本当に驚いています

最終候補に選ばれた7品
最終候補に選ばれた7品

そして候補には、洋菓子4品、和菓子3品の合計7品が選ばれた。

メロン半分を贅沢に使い、スポンジや生クリーム、それにカスタードクリームを詰めた「メロンシャンテ」。

自社農園で作った幻と呼ばれるいちじくを使った「幻の!!黒いちじくシュークリーム」。

また、富士山の雪解け水と国産大豆で作った豆腐に黒蜜をかけて食べる「富士の湧水 黒みつ豆腐」などあわせた7品が選ばれた。

7品の中には、地元の高校生が考案した富士山をイメージした和菓子も入っていた。

地元活性化に取り組む高校生もエントリー

考案したのは、市内の高校生たちでつくる「富士宮高校会議所」の生徒たち。高校会議所はボランティア活動をはじめ、地域の活性化に取り組んでいる。

高校会議所は、子供向けの将棋教室を開催するなど将棋への関心も高く、今回、藤井五冠に富士宮のまちの良さを知ってもらいたいとエントリーすることを決めた。まちの特産や藤井五冠について調べながら、おやつ作りを進めていった。

高校生たちの打ち合わせ:
記者が藤井聡太さんに、自分を富士山に例えるとどの辺?と質問した時に、自分はまだまだ森林限界を越えられていない、森林限界は富士山の五合目あたりで、半分いっているかいっていないかって答えていたよね

注目したのは、藤井五冠がタイトル五冠を達成した時の発言だ。自身の現在地を、富士山に例えて樹木が育たなくなる5合目付近「森林限界の手前」と答えていた。

高校生たちは、その上を目指してほしいという思いからおやつの名前を「森林限界を越えて」に決め、イメージを膨らませていった。

開発した肥料・マスマス元肥
開発した肥料・マスマス元肥

さらに生徒たちがこだわったのが、自分たちで開発した肥料「マスマス元肥(げんぴ)」を使った農作物を利用することだ。

勝亦リーダー:この肥料で落花生などを作った
勝亦リーダー:この肥料で落花生などを作った

富士宮高校会議所・勝亦海吏リーダー:
マスマス元肥という、ニジマスの残さと朝霧の牛の牛糞を使って肥料を開発し、その肥料によって落花生や野菜などを作る活動をしてきました

開発した肥料で育てた落花生
開発した肥料で育てた落花生

生徒たちはSDGsの一環として、地元のニジマスを加工する際に捨てる部分と牛糞を使った肥料を開発しており、その肥料で育った落花生をスイーツで使おうと考えた。

協力した和菓子店・華月
協力した和菓子店・華月

こうしたイメージと食材をもとに、地元の和菓子店「華月」が商品化に協力。富士山を表現した、3つの層に分けた和菓子「森林限界を越えて」が完成した。

“森林限界”を越えて

下の部分は、森林をイメージした県産の抹茶ようかんを。真ん中は、森林限界を越えた上の岩場を表し、地元農家が作った落花生をベースにしたペーストを使用。そして上の部分は紅富士をイメージして、地元のイチゴを使用したゼリーを使っている。

実行委員の試食
実行委員の試食

試食会での評判も上々だった。

実行委員:
おいしい、いいよね。色が違うから個々が主張するかと思ったが主張しない。良い調和、具合になって

そして、投票の結果、おやつ候補に選ばれた。

勝亦リーダー:自分たちの活動も知ってもらえたら
勝亦リーダー:自分たちの活動も知ってもらえたら

富士宮高校会議所・勝亦海吏リーダー:
選ばれることができて、率直にうれしいです。静岡の魅力を存分に味わってもらい、私たちの活動も少しでも知ってもらえたらうれしい

森林限界を越えて、さらに活躍してほしいという高校生たちの思い。その思いはおやつを通じて、藤井五冠に届くことになるのだろうか。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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