年齢を重ねると増えていく「難聴」。新潟県医師会広報委員会の協力のもと、耳鼻科医に話を聞いた。

80代では7割以上が加齢性の難聴に

大滝耳鼻科クリニック 大滝一院長:
80代を超えると、ほとんどの方は小さい声は聞こえない。電子音のような高い音は聞こえない状態になる

新潟県耳鼻咽喉科医会の理事を務める大滝院長
新潟県耳鼻咽喉科医会の理事を務める大滝院長
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年齢を重ねると誰がなってもおかしくない、加齢性の難聴。50代を超えると除々に増え、80代では男女ともにその割合は7割以上にもなる。

杉山萌奈アナウンサー:
「高齢だから難聴になるのは仕方がない」と思ってしまう方も多いのでは?

大滝耳鼻科クリニック 大滝一院長:
内耳全体の機能が低下する。内耳は聞こえ・体のバランス感覚をとる2つの機能があるので、ちょっとした段差でも転びやすくなる。耳から入る情報が減ると脳の活性化が抑制され、認知症になりやすいと言われている

難聴によって転倒しやすくなるほか、周囲の人との会話が減り、疎遠になることで認知症の進行をも早めることが分かっていて、WHOは「認知症予防のためのガイドライン」に難聴を盛り込んでいる。

最新の補聴器はオシャレ? 早めの装着で認知症予防

杉山萌奈アナウンサー:
難聴を早期に治療すれば認知症を予防できるのでしょうか?

大滝耳鼻科クリニック 大滝一 院長:
補聴器をつけることで認知症の発症・進行を予防できると、アメリカ・オーストラリア・フランスでデータが出ている

認知症は2050年には1000万人を超えると推計される。補聴器を早めにつけることで、この数字を減らしていけるという。

杉山萌奈アナウンサー:
小型でピンクやブルーといった様々な色があり、一見するとイヤホンのように見えますが、これが最新の補聴器なのです

最新の補聴器 小型でカラーバリエーション豊富
最新の補聴器 小型でカラーバリエーション豊富

おしゃれな最新補聴器をつけてみると…。

杉山萌奈アナウンサー:
重さは全くないです。アクセサリーやイヤホンをつけている感覚に似ています

重さはなく、アクセサリーやイヤホンをつけている感覚
重さはなく、アクセサリーやイヤホンをつけている感覚

大滝耳鼻科クリニック 大滝一院長:
昔に比べると、皆さん補聴器をつけやすくなっている

補聴器はいつから? 心当たりがあれば受診を

では、補聴器を検討するのはどのタイミングなのだろうか?次の5点について、大滝医師は当てはまる項目があった場合、耳鼻科を受診するよう呼びかけている。

▼話をしている時に聞き返すことがよくある
▼後ろから呼びかけられると気付かないことがある
▼話し声が大きいと言われる
▼集会や会議など、数人の会話でうまく聞き取れない
▼家族にテレビの音量が大きいと言われる

大滝耳鼻科クリニック 大滝一院長:
ご家族の方が耳鼻科に連れてきていただき、検査を受けてある程度の難聴があった場合、補聴器をつけると日常生活も家族も楽になる

助成制度の充実を 高額で普及率低い補聴器

加齢性の難聴は薬や手術などで治療することができず、補聴器をつけることが唯一の手段だというが、日本では普及率が低い。

大滝耳鼻科クリニック 大滝一院長:
価格が高い。補聴器は専門の技能者がいて、聴力に合わせて一つ一つ作っているので、色々な機能がついている。一般に一番多く出る補聴器は12~13万円。「十何万じゃ買えない」という声が非常に多かった。なんとかしたいということで、助成制度を新潟県内でやってみようと始めた

補聴器普及のため助成制度を働きかけている大滝院長
補聴器普及のため助成制度を働きかけている大滝院長

杉山萌奈アナウンサー:
現在、日本では軽度・中等度の加齢性難聴者に対する助成制度はありません。そこで大滝医師が新潟県内30市町村に「補聴器購入費用の助成」を働きかけ、助成の上限額や対象年齢は自治体によって違いますが、現在は26市町村で助成が始まっています

大滝耳鼻科クリニック 大滝一院長:
未実施の市が4市あるので、2023年春にはやってもらえるよう頑張っている。年齢と助成額はまだ不十分なので充実させたい

大滝医師は補聴器をつけられる人が増え、一人でも多くの認知症患者が減ることを願っている。

大滝耳鼻科クリニック 大滝一院長:
制度ができたことで受診している人が多い。まずは耳鼻科を訪ねてみてください

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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