2011年の豪雨災害で被害を受け、2022年10月1日に全線が再開通したJR只見線。渓谷を通るという環境ゆえ、復旧には、高いレベルの作業も求められた。工事に携わった作業員の思いを取材した。

「やり切った」 只見線の復旧工事が完了

10月1日の全線再開通に向け、試運転を重ねていたJR只見線。

復旧した鉄橋を列車が通過
復旧した鉄橋を列車が通過
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復旧工事が完了した鉄橋を通過する列車を、2人の作業員が見守っていた。

作業員:
感動的ですね

東鉄工業・國富大起さん(左)と小野工業所・小林隆介さん(右)
東鉄工業・國富大起さん(左)と小野工業所・小林隆介さん(右)

鉄道関連工事を得意とする東京の「東鉄工業」と、福島市の総合建設業「小野工業所」が、共同で復旧工事を担った。

東鉄工業・國富大起さん:
スムーズに静かに通ったのを見て、「ああ、いいものができたな」と思います

小野工業所・小林隆介さん:
自分がこれを作ったんだというのを、改めてまじまじと感じました。一言「やり切った!」という感じです

豪雪地帯の渓谷…難工事を乗り越え完成

2011年の記録的な豪雨で、只見川は濁流と化し、JR只見線は3つの鉄橋が流される大きな被害を受けた。約90億円に上った復旧費用。その3分の2を福島県と沿線自治体が負担することになり、2018年6月に工事が始まった。

中でも「第七只見川橋梁」は作業スペースが十分に確保できないなど、“渓谷”特有の難しさを抱えた現場だった。そこで、復旧工事には特殊な方法が採用されたという。

「国内でも年に1、2件くらいしかない」ような特殊な架設方法が採用された
「国内でも年に1、2件くらいしかない」ような特殊な架設方法が採用された

東鉄工業・國富大起さん:
ケーブルクレーンを、鉄塔を使ってさらにワイヤーを張ります。これは鉄橋をつるためのものです。鉄橋をつった状態で、つり橋状につり建てていきます。国内でも年に1、2件くらいしかないような架設方法

「国内でも年に1、2件くらいしかない」ような特殊な架設方法が採用された
「国内でも年に1、2件くらいしかない」ような特殊な架設方法が採用された

まず、高さ40メートルに及ぶ鉄塔を両端に設置。そこからケーブルを張り渡し、橋の部品を一つ一つつり下げながら組み立てた。

豪雪地帯で冬は作業ができないというハンデもあったが、延べ1万人が携わり、約3年かけて完成にこぎ付けた。

完成した新しい鉄橋
完成した新しい鉄橋

新しい鉄橋は橋脚の位置を変えるなど、大雨による濁流の影響を受けにくくなった。

道路工事を請け負うことが多い小野工業所にとっては、数十年ぶりの鉄道工事だった。

小野工業所・小林隆介さん:
私自身は鉄道工事、まして壊れた橋りょうの復旧工事ですね。一から鉄橋をかけるというのは初めてで、全く未知の領域だったんですけど。
橋りょう復旧するという事は、地元の人の足を守るんだなというのを思い、やりがいを感じる事ができました

地元住民から贈られた感謝の言葉

難しい工事を前に進める原動力の一つには、再開を待ち望む地元住民の応援があった。

地元住民:
徐々にやっぱり気持ちが高ぶってきたというか、一刻も早く直してもらいたいなという気持ちでした。どうもご苦労様でございます。いろいろご苦労あったと思います

難しい工事をやり遂げた2人は、只見線が再開したあともサポートを続けたいと考えている。

小野工業所・小林隆介さん:
福島県民としては、11年越しでついに開通の日が迎える事ができて感無量です。四季折々の景色を楽しめる美しい路線なので、復旧・再開した際には県内問わず、県外の方にも乗りに来てもらいたいなと思います

東鉄工業・國富大起さん:
直すのは私たちが直せますが、あとはこれを多くの方に乗って頂いて、この地域が盛り上がっていくように、ぜひ私も協力させてもらいたいと思いますので、よろしくお願いします

地元住民だけでなく、復旧工事に携わった人の思いも乗せて、只見線は再び走り出す。

(福島テレビ)