中国・四国・九州エリアにスーパーマーケットを展開する企業が、”ゲームを通してSDGsを理解しよう”という研修会を開いた。研修を受けたのは、新規オープンを目前にした店舗のスタッフ。SDGsに積極的に取り組む食品スーパーの戦略に迫る。

参加者は”ゲームのプロジェクト”に熱中

トランプよりも少し大きいカードを机に並べ、何やら熱心に話し合っている人たち。

カードを使ってSDGsを体験的に理解するゲーム
カードを使ってSDGsを体験的に理解するゲーム
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「2000万円あればいけるんですよ」
「エンジニアがほしいです。エンジニアと交換しませんか?」
「経営スペシャリストをもらえませんか?」

熱い交渉や打ち合わせによって、数々のプロジェクトが達成されていく。仕事…ではなく、すべてゲーム。「SDGsで地方創生」をテーマに、食品スーパーのスタッフ40人以上が参加する研修会だ。

食品スーパーのスタッフ40人以上が参加した研修会
食品スーパーのスタッフ40人以上が参加した研修会

参加者全員が初めての体験。参加者は”架空の地域”の住民になって、「一般市民」や「行政職員」など16の役割(チーム)に分かれる。
そして、それぞれのチームに達成すべきプロジェクトが与えられ、プロジェクト達成のために必要な資金とスタッフを集めなければならない。
手元に資金がなければ、借りるか補助金をもらう。スタッフが不足していれば、他のチームに自分のスタッフ(カード)と交換してもらうか、お金で買い取って集めていく。
このカードゲームは、SDGsの考え方を基に、地域を発展させていく方法をみんなで対話し考えることを目的としている。

ゲームの中で「一般市民」など16の役割に分かれる
ゲームの中で「一般市民」など16の役割に分かれる

このチームは「ジビエのビストロ」を開業しようとしている。しかし、開業するためには5000万円の資金が必要。

参加者:
お金が足りない

「ジビエのビストロ」を開業しようとするチーム
「ジビエのビストロ」を開業しようとするチーム

どこかで資金を調達しなければならない。金融関係チームに融資を求めるが…

金融関係チームも資金不足で融資できず…
金融関係チームも資金不足で融資できず…

金融関係チーム:
5000万円?無理だね。2000万円しかない。お金が増えたら、もう一度来て

ゲームとは言え、ちょっと世知辛い。
こちらは行政担当チーム。いくつかのチームが融資のお願いに集まっている。

行政担当チームに駆け込む各チームの参加者
行政担当チームに駆け込む各チームの参加者

なんとか「ジビエのビストロ」開業の資金調達に成功。行政担当チームから5000万円を融資してもらったようだ。これでプロジェクトは達成。新たなプロジェクトカードが渡された。

新しいプロジェクトを与えられた参加者
新しいプロジェクトを与えられた参加者

変化する”地域の状況”をみんなで共有

プロジェクトが達成されるに従って、架空の地域の状況は変わっていく。地域の状況メーターを示す「人口」「経済」「環境」「社会(暮らし)」の4つの指標。ホワイトボードに張られた4色のマグネットがポイント数を表し、参加者全員で地域の状況を共有できるようになっている。

ホワイトボード担当のスタッフ:
経済のポイントが減った。暮らしは良くなったけど、経済が悪くなった

ホワイトボードの「地域の状況メーター」を管理するスタッフ
ホワイトボードの「地域の状況メーター」を管理するスタッフ

何もしないと「人口」は減少していく。「環境」が悪ければ人は増えず、「経済」も活性化しない。「経済」は地域財政に影響を与える。
しかし「経済」が成長し過ぎて「環境」が悪化すれば、「人口」は増加しない。
つまり、どのプロジェクトを行うかで地域の状況は良くも悪くもなるということだ。

「大型ショッピングモール誘致」や「B級グルメ博開催」など、さまざまなプロジェクト
「大型ショッピングモール誘致」や「B級グルメ博開催」など、さまざまなプロジェクト

プロジェクトの目標数を達成した参加者に話を聞いた。

参加者:
楽しいね。次は“海外交換留学制度”を立ち上げます。人口が増えないとできなかったので、人口が増えるのを待っていました

課題をバランスよく解決しなければ地域は発展しない。個人の可能性を実現しながら、”周囲と協力して”地方創生に取り組む必要性を、このゲームで体感した。

SDGsに特化した店舗が10月末オープン

それにしても、食品スーパーのスタッフがなぜ「SDGs研修」なのだろう?その理由は、新規オープンする”店舗”にあった。
広島・東広島市西条町に10月末に完成予定の「ゆめモール西条」。マツダスタジアムの約2.2倍の敷地面積に、食品スーパーと専門店29店舗を集約したオープンモール形式の商業施設だ。

東広島市西条町に建設中の商業施設
東広島市西条町に建設中の商業施設

そのモール内に出店する「ゆめマート西条」は、店舗の使用電力を太陽光発電など100%再生可能エネルギーで賄うなど、食品スーパーとしては国内でも極めて珍しいSDGsに特化した店舗である。

ゆめマート西条・田中優一郎 副店長:
「ゆめマート西条」は、社内で初めてSDGsを取り入れた店舗です。働く従業員みんながSDGsをある程度知っていないと、良い店はつくれないと思っています

ゆめマート西条・石元克典 店長:
研修にもSDGsを取り込んだというのは、意義があったと感じます。店舗がオープンする前に”自ら考えて行動することを学ぶ”すごくいい機会だったと思います

SDGsに特化した店づくりは、企業もスタッフも初めての挑戦。それは地域にどんな変化や可能性を生み出すのだろうか。カードゲームではなく、現実の地域創生が始まろうとしている。

(テレビ新広島)