特定の言葉が出づらかったり、最初の音を繰り返したりする「きつ音症」。2022年9月、石川県金沢市で、きつ音症で悩む子供たちを対象にした珍しいスポーツ教室が開かれた。企画した男性が伝えたいメッセージは、「きつ音症」でも深刻に悩まないでほしいという思いだった。

ちょっと変わったスポーツ教室

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石川県金沢市にある「カラフルスタジアム」。スポーツを楽しんでいるのは、知的障害や発達障害などの障害がある子供たちだ。

松井佑介さん:
2回タイムを測るので、1回目よりも良くなるように!

指導するのは松井佑介(まつい・ゆうすけ)さん。24歳。

子供たちに印象を聞くと…。

石川テレビ取材班:
松井先生は、どんな人?
参加した子供:
鬼ごっこ下手~。ドッチボールもすぐ倒される。
松井佑介さん:
そんなイメージけ?はははは。

親しみやすく子供たちに大人気だ。しかし松井さんには、ある障害が…。

松井佑介さん:
あ、あ…。今も「安定する」っていう言葉が出てこなくって。「あ」という言葉が出てきにくいんです

「きつ音症」だ。「きつ音症」とは、言葉が滑らかに出てこない発話障害の一つ。

最初の音を繰り返してしまったり、言葉がすぐに出てこなかったりする。明確な原因はわかっておらず、100人に1人が「きつ音症」だと言われている。

子供のころは、障害だと分からず、音読の時間にクラスメイトに笑われたり、号令がいえず、先生から居残り練習をさせられたりしたという。

松井佑介さん:
なんで出ないんだろうなって…。謎の呪いにかかってるんだっていう思いでした。

幼少期は障害について悩んだことも…
幼少期は障害について悩んだことも…

そんな松井さんの支えになったのが、スポーツだ。

松井佑介さん:
不思議なんですけど、運動をしているときは、(きつ音が)気にならなくなった。何のつっかえもなしに仲間と話せてたような気がして、スポーツは僕の心の救いになりました。

そんな松井さんが、思い立ったのが…。

松井佑介さん:
きつ音者のためのスポーツ教室「DOMOスポ」っていうのを始めようと思っています。僕が、企画と運営している事業なんですけど…。

きつ音症の子どもを対象にした珍しいスポーツ教室だ。

松井佑介さん:
スポーツを通じて、人とコミュニケーションすることとか、自己表現することに、自信を持って欲しいなと思って…。そういう企画になっています。

この日、松井さんは金沢大学を訪ねた。きつ音症の専門家、小林宏明教授にイベントでどんな配慮が必要か、アドバイスをもらうためだ。

松井さんは金沢大学の小林教授を訪ねた
松井さんは金沢大学の小林教授を訪ねた

小林宏明教授:
環境もあると思うんですけれど、きつ音の問題ってやっぱり話さないと解決しない。

実は小林教授自身も、きつ音症だ。

松井さんにアドバイスする小林教授
松井さんにアドバイスする小林教授

小林宏明教授:
「発音が不自由な状態でも大丈夫だった」ていう経験を積むことが、大事かな。

大切なのは、きつ音を気にせずに楽しめる居場所作りだという。

松井佑介さん:
子どもたちの声が自然と出るような教室になるといいなって思ってます。

体験会がスタート!果たして、子供たちの反応は?

2022年9月10日、「DOMOスポ」の体験会が開かれた。

松井佑介さん:
好きな色の輪っかに入ろうか。早い者勝ちです!

無料体験会に集まったのは小学生3人。大きなボールをつかった鬼ごっこなどで、身体を動かした。

参加した子供たちから歓声も…自然と、コミュニケーションが生まれていた。

参加した子供:
楽しかった!

参加した子供の保護者:
すごい笑顔で楽しんでるなって。子どもと話して楽しければ、続けたいなって思います。

松井佑介さん:
全力は尽くせたので…。やっぱりスポーツは、みんなでやった方が盛り上がるので、ぜひ来ていただきたいです。人知れず、学校で悩んでいるお子さんが多いというので、その子達に「DOMOスポ」の願いが届いて欲しいなって思いです。

松井さんは、自分と同じ「きつ音」で悩む子供たちにこんなメッセージを送った。

松井佑介さん:
僕を見てくださいって感じです。「きつ音症」であっても、元気にやっている人もいるから、深刻に悩まないで欲しいなって…。

(石川テレビ)

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