自民党の小野寺五典元防衛相と立憲民主党の岡田克也幹事長は25日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、安倍晋三元首相の国葬や国交正常化50周年(29日)を迎える日中関係などに関し議論した。

番組では、中国人を対象に、有事に軍事動員する「国防動員法」と、有事・平時を問わず中国政府の情報工作活動への協力を義務づける「国家情報法」について議論。両法とも、中国国内はもちろん海外在住の中国人をも対象としている。

小野寺氏は「非常に恐ろしい法律だ。国際社会から見てあり得ない内容だ」と指摘。番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪市長)は「中国籍だからと言って排除や差別的な取り扱いは絶対やりたくないが、対抗策の法律を用意しておく必要がある」と強調した。

27日に行われる安倍元首相の国葬について、岡田氏は、国葬ではなく内閣葬なら「反対しない」と述べ、その場合「全額国費でも構わない」と表明した。立憲民主党は、国葬について執行役員の欠席を決めている。

これに対し、小野寺氏は「吉田茂元首相の例もあり、内閣府設置法の中で内閣の判断でできる国葬儀が実際にある。そのことは内閣法制局を含めて対応している」と述べ、国葬の手続きに瑕疵(かし)はないと説明した。

一方、非核三原則をめぐり、2010年の民主党政権で、当時外相だった岡田氏が日本の有事の際の米国による核兵器の持ち込みについて「時の政権が命運を懸けて決断する」と述べたことについて、岡田氏は必ずしも国会の議決は必要ない、との認識を示した。「現実に、アメリカ(の核を搭載した艦船)がどうしても寄港しなければいけないと言った時に、国会に議決を求める暇がありますか」と話した。

以下、番組での主なやりとり。

橋下徹氏(コメンテーター、弁護士、元大阪市長):
自民党が先走って「国葬」としたが、実態は「内閣府葬」「政府葬」だ。それで立憲民主党が賛成するのであれば(いい)。とにかく昭恵さんがかわいそうすぎる。ご遺族に配慮し、内閣府葬や政府葬でやれれば(いい)。

岡田克也氏(立憲民主党幹事長、元副総理、元外相):
我々は最初から内閣葬なら構わないと言っている。
            
橋下氏:
全額国費でもか。

岡田氏:
全額国費でも構わない。

橋下氏:
国葬でなければ、「日本政府葬」の名称でもいいのか。

岡田氏:
内閣葬ということが明確になってるのなら(いい)。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則の内の「持ち込ませず」について、2010年の国会答弁で、当時外相だった岡田氏が「非核三原則を堅持する」とした上で、「核搭載の米艦船の一時寄港を認めないと、日本の安全が守れない事態が発生したとすれば、その時の政権が命運を懸けて決断する」との見解を示した。

橋下氏:
非核三原則は閣議決定だから、内閣の判断で変えられる。非核三原則を変えるために、国民への説明は必要だが、国会の承認は必要なのか。
            
岡田氏:
承認が必要かどうかは何も決まっていない。ただ、国是として国会決議を何回もやっているわけだから、それに明らかに反したことをするということになれば、政府としては当然国会に対する説明責任を負う。

橋下氏:
論理に整合性がない。(安倍元首相国葬の)儀式については「国会の議決が必要だ、必要だ」と言うのに、より重要な非核三原則については国会の議決のことを言わない。そういうところで「論理がおかしい」と取られてしまう。

岡田氏:
現実に、米国がどうしても寄港しなければいけないと言った時に、国会に議決を求める暇があるか。

橋下氏:
僕も議決は要らないという立場だ。なんでもかんでも国会の議決が必要だということではない。
            
岡田氏:
それはもちろんそうだ。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
それはその時の政権の判断でいいということか。

岡田氏:
いや、いいのではない。それは当然、国民に対しても国会に対しても責任を負う内閣としての重大な決断だ。説明を求められるし、それが納得されなければ内閣として責任を取るしかない。それほど重要な問題だということだ。

橋下氏:
岡田氏の答弁は正しいし、国会の議決も要らないと思う。岡田氏がここで一歩踏み出したのだから、次は政権与党として非核三原則を改めて(非核)2.5(原則)にするかどうかだ。「持ち込ませず」は、「持ち込ませる」とはっきり言うかどうか。岸田首相は広島出身でもあり、「(三原則を)変えない」と言っているが、きょう(25日)も北朝鮮がミサイルを打ってきた。中国も打ってくる。米国の核の傘に我々は守られているのだから、米国の核が日本に入ってくることを禁じるなんてことは論理的整合性が取れない。

小野寺五典氏(自民党安保調査会長、元防衛相):
岸田首相は「非核三原則は守る」と言っているが、「持ち込ませず」について「政権が命運を懸けて決断する」との岡田外相(当時)答弁を踏襲している。言ってみれば、完全な三原則ではない。その時はその時に政府が判断をする。このことは踏襲している。

梅津キャスター:
9月29日に国交正常化50周年を迎える日本と中国。祝いのイベントが開かれる一方で、日中関係を深める上で懸念もある。中国の2つの法律について見ていく。2010年施行の「国防動員法」は戦争などの有事の際、国と軍が民間人や施設などを軍事動員できると定めた法律。2017年施行の「国家情報法」は、中国政府の情報収集活動への協力を義務付ける法律で、こちらは平時にも適用される。この2つの法律は中国国内だけでなく、世界中にいる中国籍の人にも適用されるとされている。
            
松山キャスター:
日本で生活する中国人は約80万人いるという。本人の意思とは関係なく、この2つの法律が中国政府の腹一つで適用される危険性がある。日中国交正常化50周年を迎えたいま、今後の日中関係、友好を深めるのに阻害要因になるのではないかという見方がある。

小野寺氏:
非常に恐ろしい法律だ。日本にいる中国人がどんなに良い人でも、中国政府、人民解放軍から情報提供を求められたら断れない。断ったら、ある面では罪に問われ、(中国国内の)親族も大変なことになる。これは日本だけでなく、米国もそうだ。米国にも中国に対する非常に強い警戒心が出ているのは、2017年にこの法律(国家情報法)ができたからだ。2010年の国防動員法は、中国人民であれば国防につかなければいけないというもの。日本にいる中国人がある時、「あなたは中国軍として働きなさい」と言われた瞬間に、日本国内に中国軍がいるということになる。国際社会から見ても、この2つの法律は非常に大きな懸念だ。

岡田氏:
国の体制が違うことを念頭に置かなければいけない。我々とは違う価値観の国だ。中国でビジネスをする日本人、中国に行く日本人はそのことを常に念頭に置いておかなければいけないのは当然だ。日本でこの2つの法律に基づいて、何かあった場合には、日本の法令に基づいてしっかりと対応する。法令が十分でないなら措置すればいい。

小野寺氏:
もう一つ心配がある。日本人と結婚して国籍が日本になったとしても中国国籍から抜けているのかというと、それは曖昧らしい。国籍はすでに日本人でも、中国政府が(その人物に対し)この2つの法律が適用されると判断すれば、その人自身も本国の家族もそういう目に遭ってしまう(罪に問われてしまう)とすれば、この2つの法律は国際社会から見て本当にありえない内容だ。
            
松山キャスター:
日本の企業や研究施設で働いている中国籍の人たちはすでにいる。そういう危険性があるということで今後の日中関係に懸念はあるか。

橋下氏:
いざ有事になった時に敵対するのは、相手の国家機関であり、普通の生活をしている一般の中国人ではない。それは念頭に置く必要がある。我々は中国籍があるからといって排除するとか、差別的な取り扱いをするということは絶対やりたくない。だけれども、いざ、その中国の法律が発動された場合、特に国防動員法が発動されたときには対抗策を取らざるを得ない。一部人権派という人たちからはものすごい批判があるかもしれないが、対抗策の法律を用意しておく必要がある。本当はやりたくないが...。

小野寺氏:
本当は悲しい話だ。中国のこの2つの法律がおかしい。海外にいる自国民がそういう扱いを受けるかもしれないのに、わざわざその種をつくっている。外交の場でこの法律はおかしいではないかと強く言うべきだ。

橋下氏:
おかしいではないかと言うだけでなく、安全保障の一環として、発動された場合に対抗策をとれるものを用意しておくべきだ。

小野寺氏:
政府機関も様々な研究機関もそうだが、残念ながらどんなに良い中国人であっても、この法律がある限り、人民解放軍に情報を提供せざるを得ない。その背景があるということを分かった上で自国の安全保障をしっかり見ていくことが大事だ。