立憲か共産の人が言ったのかと思った
自民党の村上誠一郎元行革相が故安倍晋三元首相を「国賊」と呼んだとして批判が集まっている。9/20付の時事通信によると村上氏は記者団に対し「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と語ったという。
この記事の画像(3枚)僕はスマホを流し読みしている時に「国賊」という見出しが目に入り、「また立憲民主か共産の議員が随分ひどいこと言ったな」と驚いたのだが、よく読んだら自民の議員だったのでさらにびっくりした。立憲と共産の皆さん、疑ってすみませんでした。
ちなみに立憲の玄葉光一郎元外相は安倍氏が「長きにわたり首相という重圧に耐えた」などとして国葬への出席を表明したが、「安倍氏の功績は国葬に相応しいとは考えていない」とも述べている。
立憲は実は抑制的
僕は安倍氏の最大の功績は集団的自衛権の行使容認と二度にわたる消費増税だと思うのだが、旧民主党はどちらにも反対したので、安倍氏の功績を評価しないという主張は当然だろう。
だが立憲の岡田克也幹事長は8/31に国葬に反対する理由の1つとして、「安倍氏に対する国民の評価は定まっていない。岸田首相の指摘するような高い評価もあれば、事実に反し不適切な国会答弁が繰り返されたことや、旧統一教会との関係などに対する疑問の声もある」と、述べている。
たぶんこれが立憲の党としての見解だと思うのだが、安倍氏の評価については「定まっていない」と断定を避けた言い方をしている。亡くなってからまだ日が浅く、国葬を前にした議論なので抑制的な表現にとどめているのだ。
岡田克也さんは義兄に注意したらどうか
これに比べて自民党の議員である村上氏の「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」という発言が本当なら、ちょっと常軌を逸している。岡田さんは村上さんの義弟(岡田さんの妻は村上さんの妹)なんだから、義理の兄貴に「いくら何でも言い過ぎでは」と注意してあげてはどうか。
「国賊」発言について村上議員はFNNの取材に対し「なんでこんな報道になっているのか分からない、記憶にない」と述べ、“国賊発言”があったかなかったかについては明言しなかった。これはとても大事なことなので是非村上さんにはがんばって思い出してほしい。そしてこの発言がなかったのであれば別にいいのだが、もし発言していたとしたら、すなわち合計8年8ヶ月の間、自民党総裁と首相を務めた人を「国賊」と呼んだのなら、直ちに自民党を離党した方がいいと思う。
【執筆:フジテレビ 上席解説委員 平井文夫】