高齢者からの支持を集めるサッカーJチームのサポーター拡大策に迫った。

サッカーを通じ課題解決

クラブハウスからグラウンドへ向かう際、 選手が思わず立ち止まる"横断幕"。

これはJリーグとサントリーウエルネスが協働し、敬老の日の特別企画として実施した 「Be supporters!」の一環。
各クラブが、ホームタウンの高齢者施設で過ごす方々からの応援メッセージを横断幕に集め、掲出した。

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川崎フロンターレ 谷口彰悟選手:
『その一蹴りが明日につながる』…かっこいいな。 おじいさんおばあさん長く生きてるだけいろんな経験されていると思うし、言葉の重みが違います。

川崎フロンターレ 遠野大弥選手:
『勝負の世界 勝つことだけを考えて』… 嬉しいですね。

川崎フロンターレの遠野選手が注目したメッセージは100歳のおばあさんが書いたもの。

100歳のおばあさん:
勝つことだけを考えて!私は100歳を超えました。これからも応援させていただきます。がんばれ、がんばれ川崎!
 

普段は支えられる場面の多い高齢者が、サポーターとしてクラブや地域を支える存在に。

「要介護3から1に…」

J3・カターレ富山を応援する高齢者施設では、誰もが予想しなかった物語も生まれた。

試合の際には、手作りグッズを身に付けて共有スペースで観戦。
回を重ねるうちに、"推し"の選手を見つけたおばあちゃんもいる。

高齢者施設のおばあさん:
大野選手好きながや。 朝もおはよう言うし、夜もおやすみなさい言うし、それからわし寝るがいぜ。

勝っても負けても、みんなで共有する喜び。すると、施設の空気にも変化が。

天王寺サポート センター 高桑到センター長:
要介護3付けていた高齢者が、今は、見るからに要介護1あるかないかの勢いじゃないかなと思います。
 

Jリーグが目指す、日本各地の高齢者がクラブや地域とつながることで身心ともに元気になる社会。

Jリーグ 髙田春奈理事:
社会全体で考えると明らかに少子高齢化になって、健康寿命と言われるように長く楽しんでいける時期を広げていかないといけないことに関しては絶対避けては通れない問題。
サッカーという存在が高齢者の皆さんにとってすごく元気を与えるものだったり、人生に潤いを与えるものになればサッカー自体、Jリーグ自体の存在意義にもなります。
3世代でスタジアムにいらっしゃる方も多いので、繋がって、高齢者の方だけじゃなくてお子さんお孫さんというところにも広げていけるんじゃないかと思います。

応援の一体感で健康作り

内田嶺衣奈キャスター:
マーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。
今回の試み、どうご覧になりますか?
 

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
普段は支えられる側の高齢者が、支える側としてJリーグチームのサポーターになるコミュニケーションは特徴的で、互いにとってウィンウィンな活動になっていると思います。

高齢者がサポーターになることで、チームの応援を通して様々な「つながりが生まれる」だけでなく、「体を動かす」「声を出す」「ときめく」など日常を彩る変化が生まれ、おじいちゃん、おばあちゃんが元気になる活動となりそうです。

内田キャスター:
選手と高齢者が互いに支え合う良い関係性が生まれているようですね。
 

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
平均寿命が伸びる中、健やかなカラダを保つ「健康寿命」が大切ですが、カラダが健康であっても、ココロが孤独や生きがいがないと意味がない。そこでカラダもココロも満たされる 「幸福寿命」が求められています。

今回の取り組みは、人生100年時代に向けて幸せやイキイキを追求する社会を作るという理念を体現する素晴らしいものになっています。
 

内田キャスター:
高齢者に馴染みのあるスポーツといえば野球や相撲というイメージがありますが、どうしてサッカーチームの熱心なサポーターになれたのでしょうか?
 

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
今回の試みは、健康をアシストするサプリメントを販売するサントリーウエルネスとJリーグチームの連携プロジェクトの一環です。

例えば、高齢者の施設でみんなで試合観戦する際、「選手と同じユニフォームを着て応援しよう」 「ゴールが決まったらタオルを回そう」 さらには、「相手チームのご当地グルメを食べて地元チームの勝利を願掛けする"サポめし"」など、これまでにない経験を楽しめる工夫がされています。

施設内にサポーター同士の一体感が生まれると、勝っても負けても会話の花が咲き、みんな一緒に気分の高揚を楽しめる。
さらに、声を出す、カラダを動かすなど、応援を楽しむことは健康づくりにもつながります。

地域密着によるファン拡大は、Jリーグが掲げる永遠のテーマであり、今後も地域を元気にする取り組みが広がることに期待しています。
 

内田キャスター:
懸命にプレーする選手たちの姿に私たちの心は大きく動かされます。みんなにパワーを届けるスポーツのチカラを改めて感じました。

(「Live News α」9月19日放送分)