ワークマンが初めて百貨店に出店する。

2030年までに全国400店舗

ワークマンは10月、「#ワークマン女子」を東京・武蔵野市にある東急百貨店・吉祥寺店に出店することを明らかにした。

「#ワークマン女子」は、首都圏の商業施設を中心に約20カ所で展開しているが、百貨店への出店は今回が初めて。

この記事の画像(4枚)

東京・銀座にある商業施設内の店舗の売り上げが想定を上回り、出店コストが比較的高い百貨店への出店も可能と判断したという。

「#ワークマン女子」は、都市部で出店を進めながら将来的には郊外での展開も検討していて、2030年までに全国で400店舗まで増やすことを目指している。

新規顧客開拓と宅配全廃へ

三田友梨佳キャスター:
一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。
ワークマンでは初めてとなる百貨店への進出、どうご覧になりますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
いま苦境にある百貨店にとっては集客力のある勢いのあるブランドに出店してもらうメリットは大きいです。

一方、ワークマンにとってもブランド認知力が高まっているタイミングでより多くの女性客にリーチできる百貨店に店舗を持つ意味は大きいと判断したのではないでしょうか。

三田キャスター:
確かにワークマン女子の展開をはじめてからは商品力の高さにひかれてファンになる女性も多いようですね。

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
ZARAなどのファストファッションは、価格に加えて流行をおさえたオシャレさが強みです。
ワークマン女子はさらに3つ目の要素として、機能性という軸を持ち、明確な差別化に成功しています。

実際にワークマンの商品を手に取って見てみたいという女性の思いが高まっているこのタイミングで、幅広い年齢層の女性客が集まる百貨店はタッチポイント・顧客接点として優れています。

さらにもう1つ、ワークマンは、店舗網の拡充とともにネット通販を通してお客を店に促す施策も行っています。

三田キャスター:
ネットで買い物をした顧客をどうお店に引き寄せるのでしょうか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
ワークマンはネットで買い物したものを自宅に届ける宅配の全廃を予定していて、2027年3月期末までに商品受け取りを店頭に一本化するとしています。

これはマーケティングではBOPIS 「バイ・オンライン、ピックアップ・イン・ストア」 機能と呼ばれているもので、ワークマンはデジタル時代においてリアル店舗に重きを置く逆張り戦略をとっています。

三田キャスター:
ワークマンが成長を続けるためにクリアすべき課題があるとすればどのようなものがありますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
ワークマンはオシャレ女子にも支持を広げる一方、従来の顧客である職人の方たちが離れてしまう懸念があります。
実はあのスターバックスもまた、初期のファンは成長とともに心地良さが失われることを心配しましたが、スタバはスタバらしさを失うことなく、世界中に店舗を増やしました。

ワークマンもスタバのように成長できるのか、今後も注視していきたいと思います。

三田キャスター:
従来のファンを離さず、新たな顧客獲得へと繋げられるのか、今後の戦略が注目されます。

(「Live News α」9月13日放送分)