20代から40代までの約9割が所有しているスマートフォン。便利故に手放せない人も多いのではないだろうか。

ただ、使い過ぎに要注意。「あれ、思い出せない…」「集中力が続かない…」などの症状に身に覚えがある人は、いわゆる「スマホ認知症」の恐れもある。専門医に症状と対策を聞いた。

スマホの情報で脳はフル稼働 使い方に注意

スマホ認知症というのは正式な病名ではない。福井大学病院脳神経内科の濱野忠則准教授は「一般的には記憶力や集中力の低下、注意力散漫など一見、認知症と似たような症状が起こるとされている」と話す。

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これらの症状は「脳疲労」が関係するといわれている。

本や辞書と比較すると、スマートフォンから得られる情報は小さな画面内に色や光、文字、映像など大量の情報があふれ、私たちの脳はこれらを高速で処理する。しかし、膨大な情報を処理するために脳はフル稼働となり疲弊。これにより、記憶力や集中力などの低下が起こるとされる。

スマホ画面から得られる色、光、文字、映像などの情報 高速で処理した脳は疲弊
スマホ画面から得られる色、光、文字、映像などの情報 高速で処理した脳は疲弊

スマートフォンを使う上で、日常で特に注意したい行動は2つ。

1つは「就寝前のスマホ操作」。寝る前にスマホの画面を見ると、メラトニンという睡眠をつかさどるホルモンの分泌が抑制され、脳が覚醒した状態になる。睡眠の質に悪影響を与え、寝不足や不眠を引き起こす。

睡眠をつかさどるホルモン「メラトニン」の分泌が抑制され、脳が覚醒した状態に
睡眠をつかさどるホルモン「メラトニン」の分泌が抑制され、脳が覚醒した状態に

2つ目は「ながらスマホ」だ。人間の脳は同時にいくつかのことをしているように見えて、脳は一度にたくさんのことをするマルチタスクが苦手。脳の中は処理しきれない“情報のゴミ”だらけになる。

人間の脳は同時にいくつかのことをするマルチタスクが苦手
人間の脳は同時にいくつかのことをするマルチタスクが苦手

使用は2時間以内に 高齢者は脳の活性化に効率的

スマートフォンが影響しているとする医学的根拠はまだ証明されていないものの、ある病気へつながる恐れはある。

福井大学病院 濱野忠則准教授:
アルツハイマー病の原因となるアミロイドべータタンパク(脳のゴミ)が、睡眠不足でうまく排出されないというのは、将来的に認知症患者の増加につながるかもしれない

ここでクイズ。総務省の調査によると、スマートフォン等の平均利用時間が最も多いのは10代~20代。では、休日に何時間使っているのか?

(1)2時間 (2)3時間 (3)4時間

正解は(3)4時間。濱野准教授は、若い世代のスマートフォンの利用に注意が必要だと警鐘を鳴らす。

福井大学病院 濱野忠則准教授:
インターネットやスマホの画面を見ている時間が長すぎて、他の活動が阻害されてくる。アルツハイマー型認知症の効果的な治療薬は残念ながらなく、回復が難しい。ただ、スマホ認知症はスマホデトックス、つまりスマホを手放すことで症状が回復するという違いがある

すぐにできる対策として挙げるのが以下の3点だ。

(1)2時間以内を目安に使用時間を決める
(2)アプリケーションやウェブサイトの利用時間を制限できる機能を使う
(3)寝る前は寝室にスマホを持ち込まない

特に若い世代は使用時間を2時間以内と決め、適切に使用することが重要となる。

一方、スマートフォンを使いこなしている高齢者は脳の認知機能がしっかりしているという。濱野准教授は「高齢者は脳の活性化のためにもどんどん使って大丈夫」と話す。

生活を豊かにする便利なスマートフォン。適切に使用する強い意志が私たちに求められている。

(福井テレビ)

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