修学旅行中の新潟市の中学生が新潟県十日町市で開かれている「大地の芸術際」の作品を壊した問題。壊された作品が作者の手によって修繕され、再展示が始まった。
「誰でも若いうちは、ちょっとした失敗をするもの」
9月8日、新潟県十日町市の「越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)」には、公開される作品を見ようと多くの人が並んでいた。
作品の鑑賞に来た人:
復活すると聞いたので、すごく見たいなと思って。楽しみな気持ちで来た
人々が公開を待ち望んでいた作品。それが、クワクボリョウタさんの「LOST#6」。
この記事の画像(11枚)暗い部屋の中に置かれた十日町の織物機具や農機具が、ゆっくりと走る小型列車のライトによって照らされ、大きな影が移ろいながら壁に映し出される。
この作品は、4月に修学旅行をしていた新潟市の中学生によって破壊されてしまった。新潟市の中原八一市長は、会見で「心からお詫びを申し上げます」と謝罪。展示は中止されていたが…。
クワクボリョウタさん:
誰でも若いうちは、ちょっとした失敗をするもの。作者はまだ生きていて、作品を修復する気力も体力もあります
作者のクワクボさんは、中学生を擁護した上で作品の制作に意欲を見せていた。9月4日までは、壊れた作品からインスピレーションを受けて制作した作品「エントロピア」を公開。
そして、7日までの3日間で「LOST#6」を修復し、8日の公開を迎えた。
十日町市 文化観光課 樋口正彰課長:
壊れたところもなるべく修復して、今までと同じような形に近づけている
定員が6人から4人に減らされ、防犯カメラが設置されるなど対策が施された展示室には、美術館の開館後、作品を鑑賞しようという人が絶えず訪れていた。
「作品の修復を通して、今回の事件に関わる人々に悪い爪痕を残さないようにしたい」とコメントしていたクワクボさん。作品は再び幻想的な世界を映し出した。
作品を鑑賞した人:
日常で使われているものが景色の一部になっていたりするので、おもしろかった
作品を鑑賞した人:
作家の宿命でしょ、こういうのは。形あるものは壊れるから、壊れたら再生する。それでいいんじゃないですか
大地の芸術祭は11月13日までだが、「LOST#6」は会期後も展示される。
(NST新潟総合テレビ)