新型コロナの水際対策緩和や療養期間短縮への見直しが進んでいる。今後、私たちのコロナへの向き合い方も変わるのか? 
関西医科大学付属病院の宮下修行教授に、コロナ対策の緩和について気になる点を聞いた。

水際対策の緩和や療養期間の短縮化…コロナとの向き合いどう変わる?

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【1】海外旅行の注意点
・海外は「NOマスク」が当たり前なので、感染リスクはある
・海外の病院は「重症レベル」でないと診てくれないケースも
→だからこそ、事前に病院・検査所の把握が必要

関西医科大学付属病院の宮下修行教授:
日本は医療へのアクセスがすばらしいのですが、海外は医療事情が異なります。ツアーではなく個人で行くときは特に、どこに病院があるか、日本人を診てくれるスタッフがいるかを事前に必ずチェックしてください。“何かあったとき”のことを、常に考えておく必要があります
(Q.向こうで症状が出た場合、「PCR検査不要なら帰国後に病院に行こう」と飛行機に乗ってしまう人もいそうですが…)
今は、“症状が出ている”ときは“感染している”と考えるべきです。飛行機に乗るべきではないですね。症状があれば、マスクだけでは不十分です

【2】感染者の療養期間短縮は妥当?
・有症状者は、現在の10日間から7日間へ短縮
・無症状者は、現在の7日間から5日間へ短縮
→有症状者は、7~9日目でも約10%が感染力を持っているが許容範囲。無症状者は、6日以降ウイルスが消えるので問題ない

関西医科大学付属病院の宮下修行教授:
ウイルス量は徐々に減っていきます。7~9日目は、生きたウイルスは培養されますが、感染性はそう高くない。そうなると、この10パーセントというのは、“現在のオミクロン対応”としては許容範囲になると思います。ただマスクなどの感染対策は、10日目まではしっかりしてください。
また、病院の中や高齢者施設では、「10パーセントは許容範囲ではない」と私は思います。勤務復帰の決定権は、あくまで病院長や施設長にありますが…

感染者の療養機関の短縮は妥当なのか?

【3】こんな場合も療養を解除していいの?
・感染後7日たったが、まだせきが出ている
→解除していい。8日目以降のせきに感染力はほぼない。強いせきが続くなら、ぜんそくなど別の病気の可能性

関西医科大学付属病院の宮下修行教授:
オミクロン株の大きな特徴は、療養解除後に「せきが長引く」「倦怠感(けんたいかん)が続く」人が多いということです。7月・8月で340名ほどの陽性者を、療養開始から10日目に診察しましたが、やはりせきが長引く人が多かった。
ただ、感染症のせきというのは、そんなに長くは続かないはずなんです。せきが強くなってくる人というのは、後ろに別の病気が隠れています。今回は3分の1くらいの人が、もともと持っていたぜんそくを発症していました。20~30代の女性で花粉症を持っている人の3分の1ほどは、将来的にぜんそくに移行する可能性があると言われていますが、オミクロン株でそれが誘発されてしまったということです

【4】療養解除のための陰性証明
・感染後8日目以降、せきが出ている状態での職場復帰に陰性証明は必要?
→全く意味がない。体内のウイルスは3週間ほど体に残っているので「陽性」は出るが、このウイルスに感染力はない

関西医科大学付属病院の宮下修行教授:
PCRや抗原検査は、バラバラになって死んだウイルスの断片でも拾ってきます。感染初期の診断のために使うものであって、治ったかどうかを調べる検査ではありません
(Q.確定ではありませんが、“無症状での社会復帰”に陰性証明を求める動きも、政府の中ではあるようですが…)
私は全く意味はないと思います。4回目接種や塩野義の治療薬にしてもそうですが、学会の提言と政府の提言は必ずしも一致しません

(Q.“安全”と“安心”が違うように、政府が世論に迎合している部分もあるんでしょうか?)
関西医科大学付属病院の宮下修行教授:

そうですね。専門家の考えが100パーセント正しいとは言いませんが…。われわれとしては、データに基づいた考え方を常に提示していくだけです

(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月7日放送)