生命保険会社が、入院給付金の支払い対象者を大幅に縮小する検討を始めている。
これまでは、新型コロナの患者について、医療保険の加入者が入院せずに自宅や宿泊施設で療養する場合でも入院給付金を支払ってきた。

コロナ「入院給付金」支払い対象者を限定へ

「医師の管理下で療養している」と判断し、保健所が発行する証明書などがあれば支払ってきた。これまでの給付金の総額は約3300億円に上るが、このうち約9割が自宅療養や宿泊療養をした人からの申請だという。

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生命保険会社は、感染者数の「全数把握」見直しに伴い、支払い対象者を絞る方向で検討を始めた。
入院した場合はこれまで通り支払われるが、自宅療養や宿泊療養の場合は、高齢者など重症化リスクのある人に限って支払われることになる。対象を変更するかどうかは各社が判断し、早ければ9月の下旬にも開始される見込みだ。

保険会社への「不正請求」が疑われる事例も

一般的な医療保険では、1日5000円~1万円の入院給付金が支払われるが、“一時金”として一括で10~40万円が支給されるものもある。
こういった医療保険に対し、これまでに契約がない人から突然申し込みがあり、申し込みの直後に給付金を申請されることもあるそう。保険会社の広報担当者は、「発熱や濃厚接触が疑われる人が、告知せず申し込むこともある」と話す。
こういった不正請求が疑われるケースについて、菊地幸夫弁護士に話を聞いた。

(Q.「コロナにかかっているかもしれない」と自覚しながら保険を申し込んで給付金を申請するというのは、法的にはどうですか?)
菊地幸夫弁護士:
保険契約締結時に、「こういう方は駄目ですよ」「こういう持病、兆候があったら告げてください」といった項目があります。“告知義務違反”になると契約取り消しの場合もあり得ます。告知義務がどこまであるかは、保険会社との契約次第ですね

(Q.これまで給付されたのに今後は給付されないとなれば、「契約者に不利益な変更では?」という視点もありますが、生命保険協会の担当者は「これまでは生命保険協会のガイドラインで、自宅療養者も医師の管理下にあり入院しているとみなしていた。ただ全数把握の見直しで状況が変わった」と話します。この見解はどうですか?)

菊地幸夫弁護士:
全数把握が変わることが、今までの扱いを変更するだけの理由になるかどうかですね。
“行政が把握しているかどうか”と“医師の管理下にあるか”は別の問題です。医師の指導の下で自宅療養している人に給付金を出さないとなると、正当な理由のない不利益な変更ということで、裁判になったときに保険会社が負けるかもしれない。“行政の管理下にはない”けれど、“かかりつけ医の管理下にある”ケースもあり得るということです

(関西テレビ「報道ランナー」2022年8月31日放送)