450年の歴史を誇るイギリスの名門インターナショナルスクールの、日本初となる系列校が開校した。学費は年間900万円、世界的なリーダー育成を目指すその学校が設立された場所は、岩手県八幡平(はちまんたい)市。
各国から生徒が集まる「ハロウスクール」は、岩手に何をもたらすのか。

チャーチル元首相も輩出…アジア10校目・日本初の「ハロウスクール」

八幡平市安比高原(あっぴこうげん)に8月29日に開校した、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン。

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28日は入学式が行われ、アジアを中心とする12カ国からやってきた11歳から15歳までの約180人が、伝統ある制服に身を包み、第一歩を踏み出した。

提供:ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン
提供:ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン

入学生:
この学校に最初に入学できることを大変光栄に思います

提供:ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン
提供:ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン

ハロウ安比校 マイケル・ファーリー校長:
岩手県の山々の中で、若者たちに価値ある経験と、成長に必要な行動を身に付けてもらいます

アジアで10校目、日本では初めて開校したハロウスクールには、450年もの歴史がある。

提供:ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン
提供:ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン

ロンドンに本校がある、名門私立学校ハロウスクール。
イギリスの元首相・チャーチルやインドの初代首相・ネールなどを輩出したほか、オックスフォード大学など世界の有名大学に多くの卒業生を送り出している。

安比校は豊かな自然に囲まれ、東京ドーム2個分の敷地を誇る。寮を含む8つの建物が整備された。
年間の学費は900万円前後。
個々の能力を引き出す多彩なカリキュラムが用意されている。

ハロウ安比校 マイケル・ファーリー校長:
私たちの視点は非常にグローバル(世界的)。東アジアの子どもたちをグローバル市民、グローバルリーダーにする教育を提供します

芸術・スポーツ・食堂…設備充実 全寮制

目を見張るのは、施設の充実ぶり。

佐々木雄祐 記者:
こちらは工作や陶芸など、さまざまなものづくりができるワークスペースという場所です。3Dプリンターが4台設置されています

各教室や図書館は活発なコミュニケーションが取れるようにと、生徒が集まりやすいつくりになっている。
講堂のステージにはびっしりと照明の設備が整えられ、演劇やダンスなどの芸術活動に活用できる。ほかにも、年中使える25メートルの温水プール、2面取れる天然芝のサッカー場などスポーツ施設も完備。
全寮制となっていて、年代別に3人部屋から1人部屋が用意されている。

食堂では、ベジタリアンや各宗教にも対応したメニューが提供される。

佐々木雄祐 記者:
こちらに「ローカル」と書いてありますが、地元の食材も積極的に利用されていて、滝沢スイカは教職員にも大変人気だということです

教諭たちは「ドリームチーム」 “英教育界のアカデミー賞”選出の教員も

開校を2週間後に控えた8月16日、教員たちの研修が行われていた。
生徒にリーダーシップや社会に貢献する心を身に着けてもらうという、ハロウスクールとしての教育の方向性を確認。教員はイギリス、オーストラリアなどから約40人が採用されている。

「リーダーシップと奉仕」担当 デイビッド・フィッチェラルド教諭:
別のインターナショナルスクールで働いていて、ハロウのアジアでの優れた評判を知っていた。ハロウスクールに参加することにとても興奮している

なかには、“イギリス教育界のアカデミー賞”と呼ばれる賞に、選ばれたという教員もいる。

外国語担当 主任 クリスピン・チェンバース教諭:
魅力的な自然、素晴らしい岩手県でこれから頑張ろうと思います

ハロウ安比校 マイケル・ファーリー校長:
私たちは教諭たちを「ドリームチーム」と呼んでいる

「ハロウ安比校を起爆剤に」地域活性化目指し企業が誘致

こうした名門校を岩手に誘致したのは、安比高原でスキー場などを運営する「岩手ホテルアンドリゾート」。建設費もこの会社が負担した。

岩手ホテルアンドリゾート ペニー・ルオ 未来開発本部長:
教育という事業の未来性と持久性を見据えて、ボーディングスクール(全寮制学校)に行きつきました。リゾート地、地方の魅力を伝えられる一つの大きなきっかけになったのではないかと思う

安比高原スキー場には、1991年のシーズンは150万人が訪れていたが、2020年には22万人あまりと、7分の1に減少。

岩手ホテルアンドリゾートでは、ハロウ安比校を一つの起爆剤に、商業施設の誘致も含めた地域活性化を目指している。周辺の居住者も、現在の約600人から、将来1万人にまで増やしたいという。

岩手ホテルアンドリゾート ペニー・ルオ 未来開発本部長:
観光・教育・健康(ウェルネス)。この3つの産業が根付いている街をつくれば、必然と定住者も形成されるのではないか

周辺のペンション街でも、波及効果に期待する声が聞かれる。
10年前、ペンションからカフェに転身したという店「ネルカフェ」では…

ネルカフェ 店主・齋藤嘉賢さん:
最近(ハロウの)先生方がたくさん来ますね。安比自体が、皆さんからはちょっと下火だなという印象をずっと受けていたみたいなので、魅力を発信してもらって、来てもらえるような場所になってもらえたらうれしいですね

また県は2022年度から5年間、運営を支援する補助金として、毎年1億6400万円を計上。地域との交流を推進する協定も結んでいる。

岩手県・達増 知事:
岩手の教育環境の向上や地域の振興等において、大きな効果が期待されます

地域活性化への期待が集まる中、開校したハロウ安比校。マイケル・ファーリー校長も岩手に貢献していきたいと語る。

ハロウ安比校 マイケル・ファーリー校長:
ハロウ安比校のコミュニティは非常に国際的であり、岩手県民が国際的な視点、国際的な影響、国際的な若者に目を向けることは、岩手県にとって非常に有益であると思います

日本で初めて誕生したハロウスクール。今後岩手に、世界に何をもたらすのか注目される。

この学校には、日本の小学6年から高校3年にあたる7学年あり、今後生徒は900人ほどにまで増える予定だ。

(岩手めんこいテレビ)