新型コロナウイルスの後遺症は、当初の「嗅覚・味覚障害」から、オミクロン株になって「倦怠感」や「睡眠障害」が増えてきているという。

感染者が増え続ける中、治療法は進んでいるのだろうか。岡山大学病院の「コロナ・アフターケア外来」で後遺症の診療を行っている大塚文男副病院長に聞いた。

多様な症状…原因特定は慎重に

岡山大学病院 大塚文男副病院長:
1年半診ていて、これだという特効薬がないのが現状。後遺症が様々な疾患を含んでいる可能性がある。最初に炎症が強かった人は当然、後遺症も長引く。重症化しない事が大事だが、年齢とか、基礎疾患があって強い治療をしているとか、免疫抑制剤を使っているとか、そういった方が感染すると重症化する。そうすると後遺症も多彩化する。

その時、後遺症だけが症状に影響しているのか、元々あった病気がコロナに感染することで悪化していないか、あるいは全く新しいことが起きていないか、特定する必要がある。

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実際にコロナで体調が狂ったと思って調べてみると、持病が悪化していたケースもあるし、新しく病気が見つかったケースもある。それ以外に、例えば貧血や肝機能障害、腎臓が悪くなっているとか、血糖値の変化などがわかってくる。それに対しては対処療法で、栄養素やビタミンを補うことで症状が取れる場合がある。

色んな検査をしてもはっきりしない場合は、元気を取り戻すため色々な漢方薬をトライする。これも対処療法だが、症状を取るためオーダーメイドな治療をしていく。

65%が半年経過しても完治せず

岡山大学病院 大塚文男副病院長:
これまで370例ほどのデータを見てみると、約65%の方が半年経過しても通院、診療を継続していて完全に治っていない。35%くらいの人は治って診療を終えている。これも株ごとの解析が必要。現在解析をある程度しているが、最初の従来株の方は6割くらい完治している。ところが、デルタの後遺症はまだかなりの方が診療を継続している。オミクロンは始まったばかりで完全に完治した方は非常に少ない。

1年近く定期的な経過をみていく必要がある。完全に治ったといわれる方でも半年くらいの経過が必要となるケースが多い。数カ月で良くなる方もいらっしゃるが、大学病院に紹介を受けるのは少し重たい患者さんが多い。ですから、大学病院で色んな診療科と連携しながら診ていく。

そういったことを平均すると、完治まで半年くらいかかっているケースが多い。診察が毎月から3カ月ごとになったりするが、本当にすっきりよくなるには時間がかかる感じがする。

元々持っていた疾患が新しく見つかる場合もある。コロナ禍で健康診断や細かいヘルスチェックが少し減っていると思う。「コロナになったから疲れる」。それもあるかもしれないが、ちょっと普通ではないというか、若者の場合、親御さんがみて、いつもと違う時は抗原検査をしてみる。それで問題なければいいが、何か見つかる可能性も少し考えて、積極的に診療にお見えになるのはいいと思う。

※データ提供:岡山大学病院

(岡山放送)

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