私がお伝えしたいのは、韓国に圧力をかける中国外交です。

日本と中国は2022年に国交正常化50年を迎えますが、中国と韓国も8月24日、国交正常化30年を迎えます。中国は、韓国が軍事的にもアメリカと関係強化を図る態度に釘を刺す姿勢です。日本は同盟国などと連携しながら、中国に対しどう向き合うかが課題です。

ポイントはこちら。「中国のしたたか外交に、日本が取るべき対応は」注目です。

【注目ポイント・記者解説】

中国が台湾周辺で実施した軍事演習では、発射された弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾し、日本政府が厳しく抗議しました。

中国が予定されていた日本との外相会談を直前でキャンセルする一方、韓国の朴外相は山東省・青島を訪問し、9日に中韓外相会談が行われました。

中韓両国が国交正常化30周年を迎える中、中国は韓国を歓迎しながらも、アメリカが配備を目指す高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD」に警戒感を示し、厳しく釘を刺しました。韓国がアメリカとの軍事演習を含む関係強化の姿勢を示していることを強く牽制した形で、韓国としては難しい舵取りが続きます。

中国の韓国と日本への対応の違いについて、韓国外交筋は「日本はアメリカから引き剥がせない、韓国は中国側に引き寄せられる余地があると(中国は)思っている」といいます。

こうした中、日中関係も今年で国交正常化50周年の節目を迎えました。中国と様々な問題を抱える日本にとっても、経済や人的交流も含め、その関係は決して無視できません。

17日には秋葉国家安全保障局長が天津で楊潔チ政治局員と7時間に渡って会談し、双方の意思疎通が重要だとの認識で一致。中国が台湾海峡の緊張をよそに、決定的な決裂を避けたい思惑が見えるのは、秋の党大会を控え、安定を優先する国内事情も関係するとみられますが、中国との関係は一筋縄ではいきません。

韓国、日本と個別に交渉してくる中国を相手に、日本は日米、日米韓、G7、クアッドなど「各国との連携を生かした外交を展開することが重要だ」とある外交筋は指摘します。単独で中国に立ち向かっても、その圧倒的な国力にはかなわないからです。

日中両国は9月29日の50周年の記念日をどのように迎えるのか、その後11月に予定されるG20などの国際会議では、どんな動きがあるのか。日本外交の真価が問われるのはこれからです。

(FNN北京支局 山崎文博)

山崎文博
山崎文博

FNN北京支局長 1993年フジテレビジョン入社。95年から報道局社会部司法クラブ・運輸省クラブ、97年から政治部官邸クラブ・平河クラブを経て、2008年から北京支局。2013年帰国して政治部外務省クラブ、政治部デスクを担当。2021年1月より二度目の北京支局。入社から28年、記者一筋。小学3年時からラグビーを始め、今もラグビーをこよなく愛し、ラグビー談義になるとしばしば我を忘れることも。