最近話題の「サイエンススイーツ」。楽しくおいしく科学を学べるお菓子として、注目されている。夏休みの自由研究にもぴったりな、おいしい科学の世界を調査した。

猛暑にうれしい…不思議なアイス

今回、吉原功兼アナウンサーにサイエンススイーツを教えてくれたのは、半田久美先生。管理栄養士とパティシエの資格を生かして「サイエンスお菓子教室」を開く、“菓学者”だ。

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まず紹介されたのが、アイス。それも、猛暑にうれしい特別なアイスだそうだが…?用意するのは牛乳・砂糖・生クリーム、そしてポイントになるのが寒天だ。

これらの材料を鍋に入れて、こげないように軽く混ぜながら加熱し、寒天が溶けてとろみがつくまで温める。
あとは型に流し込むだけ。お好みでフルーツなどを入れるのもお薦めだ。今回は、琥珀糖(こはくとう)を入れてみた。

冷凍庫で3時間冷やして完成したアイス。一体何がサイエンスかというと…半田先生がドライヤーを取り出し、アイスに温風を当て始めた。

吉原功兼アナウンサー:
先生、何やってるんですか!?溶けるじゃないですか!…あれ、溶けない?

普通のアイスに温風を当てると30秒ほどで溶け始めるが、今回作ったアイスは溶けない。一体どういうことなのだろうか。

そのヒミツは、材料として入れた「寒天の融点」。

半田久美先生:
寒天というのは食物繊維でできていて、固まるのは常温の30~40度で、溶けるのは80~90度。高い温度にしないと溶けないんです

寒天を入れたことで、外はシャリっと、中はトゥルンとした食感に。 

吉原功兼アナウンサー:
全く味わったことのない食感、おいしい!優しい甘さも絶妙で大好き

暑い屋外でもゆっくり味わえる、猛暑にうれしいアイスだ。

サイエンススイーツは身近な探究学習?

こうした「おいしく学べる」サイエンススイーツは、身近なところにも…ロングセラーの「ねるねるねるね」も、重曹とレモン酸の反応を利用して膨らませるお菓子だ。

メーカーのクラシエは、他にもさまざまなサイエンススイーツを「知育菓子」として開発している。
お菓子に起きる不思議な現象に「どうして?」「なぜ?」を感じてもらえるように特設サイトを作るなど、科学の仕組みを積極的に紹介しているそう。

クラシエフーズ・マーケティング室 菓子グループ 宮迫雅係長:
知識や原理を正しく知ってもらいたいっていうより、「理科への興味を持つきっかけ」になってほしいという思いを込めてやっています。今の時代の流れ、まさに「探究学習」とか。学習指導要領が変わって、「生きる力を育てよう」みたいなコンセプトになっている

2020年、文科省が導入を決めた「探究学習」。
「自分たちで課題を見つけて解決する」新しい学習方法のことで、2022年度から、高校の必修科目にもなっている。知育菓子を教材として使う学校もあるそうだ。

栄養ドリンクを入れたグミ 暗闇で…?

半田久美先生:
サイエンスお菓子を通して“考える力”も育てていただきたいな、と

次に半田先生と“考えながら”作るのは、グミ。用意するのは、砂糖、ゼラチン、そして黄色い「栄養ドリンク」だ。

作り方は簡単。耐熱ボールに材料をすべて入れたら、レンジで20秒ほど加熱する。よくかき混ぜて型に流し込み、冷蔵庫で1時間ほど冷やすだけ。

グミは完成したが、一体どんなサイエンスなことが起きるのだろうか。ポイントは、材料として入れた「栄養ドリンク」だ。

半田久美先生:
では、電気を消しますよ~

吉原功兼アナウンサー:
電気?

部屋を真っ暗にして、紫外線を出すブラックライトで照らしてみると…

吉原功兼アナウンサー:
うわ!光る!これはキュンキュンしますね…どうして光るんですか?

半田久美先生:
栄養ドリンクに含まれるビタミンB2が光のもとなんです。紫外線の光を可視化、見えるようにしてくれるのがビタミンB2

これもサイエンス。光るグミのお味は…?

吉原功兼アナウンサー:
砂糖の甘味に、ちょっとだけ栄養ドリンクの味。スウィーティーな光を放てそうです

おいしい実験で「考える力」を 半田先生のオンライン教室

半田先生が開催するオンライン教室でも、“自分で考える”ということを大事にしているそうだ。

半田久美先生:
レモン汁を入れるとどんな色になると思いますか?

参加者:
黄色?

この日は、バタフライピーというハーブとレモンを使った、「色が変わる琥珀糖」に挑戦だ。

参加者:
すごい!赤色になった

色の変化は、アントシアニン(アルカリ性)という成分がレモン汁(酸性)と反応することで起こるんだそう。

参加者:
レモン汁とか入れて色が変わるのが楽しかった、実験やってみて楽しかった。またやってみたい。こういう実験みたいなことの第一歩として、家の中でも遊びつつ学べるっていうのはすごくいいと思います

大人も子供も大満足の授業になったようだ。 

吉原功兼アナウンサー:
探究学習につながっていくことを教えてくれますよね

半田久美先生:
実験する前にみんなで「どうなるかな」って予想してもらって、そこから答えを導き出すことで、子供自身も楽しいし、新たな発見につながるので。普段の生活の中でも「なんで?」「こうしたらもっとよくない?」っていうのを見つけられるお子さんが増えるといいなと

考える力を養うきっかけにもなるかもしれない、サイエンススイーツ。この夏、ぜひ試してみてほしい。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年8月12日放送)

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