「安全な農作物と世界に示したい」福島の農業高校がグローバルGAPを取得した理由

「震災後はやっぱり“福島の作物は危険”だという認識が持たれていて。先輩が4年前にオランダへ研修に行って、福島の作物が『デンジャラスフード』と言われることがあって、僕も先輩たちも悔しい気持ちだった」

福島の農作物に対して、未だに世界は厳しい視線を向けていることをオランダの研修から知り、ショックを受けた岩瀬農業高校の生徒たち。

そこで、2018年に福島の高校ではじめてとなる世界基準の農業認証「グローバルGAP」を取得した。

「グローバルGAP」は、食品安全・労働環境・環境保全に配慮した生産者に与えられる国際認証のこと。

安全で環境にも配慮している証を世界に示したいという思いからだった。

先輩たちの思いを受け継いだ磯部智詞さんたちは、農薬使用量や放射能検査などの記録を徹底。収穫時にはマスクや手袋をつけて、野菜に雑菌がつかないようにした。

磯部さんは「掃除の細かさや農薬の量の管理だったり、実家の農業でやるよりも細かい」と厳しい審査をクリアするためにはさまざまな苦労が耐えないと話す。

農薬散布車の洗い場は、農薬が土壌に流れないように舗装。専用のフィルターを通して排水している。

そして2021年に18品目で「グローバルGAP」を獲得し、高校日本一に輝いた。

磯部さんは「世界の人々に食べてもらえるような場面があったときに、『グローバルGAP』を取得していれば安全だということの裏付けになる。福島の農作物がどれだけ安全かを知ってもらえればと思っています」と語った。

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