被爆77年を迎えた広島で、被爆者の悲惨な体験を新しいツールを使って次世代に語り継ぐ取り組みを取材した。

高齢の被爆者と子どもたちをオンラインで…

被爆体験を新しいかたちで伝えようとしているのは並川桃夏さん(24)。

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高校生の時に取り組んでいた平和活動がきっかけで、特別な経験をした。アメリカのオバマ大統領が現職として初めて広島を訪問した時、並川さんは慰霊碑前でオバマ大統領に花輪を手渡すという大役を担った。

オバマ大統領(当時)に花輪を手渡す並川さん
オバマ大統領(当時)に花輪を手渡す並川さん

これまで様々な活動を続けてきた並川さん。その中で多くの被爆者の体験を聞いてきたが、高校2年生の時に被爆体験を聞く予定だった被爆者が、直前に亡くなってしまうということがあった。

並川桃夏さん:
今の小さな子どもたちは、本当に被爆証言を聞く機会が数回、数える程度しか残されていないのかなと思っているので、子どもたちと被爆者の方を繋げることによって、子どもたちにとって被爆者がかかわりやすい存在になったらと思いますね

並川さんが訪ねたのは、福山市に住む被爆者・廣中正樹さん(82)。

廣中正樹さん:
今82歳になって、活動できるのは85歳くらいまでだと思うんです。これから若い人には継承してもらおうと思っているんです

並川さんが取り組んでいるのは、オンラインを使った被爆者と交流できるイベント。

並川桃夏さん:
オンラインで開催することによって、気軽にワンクリックで入れるような状態になったので、今まで証言をまったく聞いたことがない人、被爆者の方がどこに住んでいるのかわからない人でも気軽に参加できるようになりました

廣中正樹さん:
オンラインはなんとなく不安なところもあるけど、2人の協力者がおってじゃけえ、大丈夫だろうと感じているんですが…

「背中に刺さったガラスを抜いてくれ」アニメ使って被爆体をわかりやすく

もう1つ並川さんにはアイデアが…。廣中さんの体験をクレイアニメにすることで、より伝わりやすくなるのではと考えた。

語り:廣中正樹さん:
手あみを持って川で遊んでいました。その時、ピカッと光りました。川下からゴーっという大きな音を立てて、爆風が私に迫ってきました。

クレイアニメの映像
クレイアニメの映像

語り:廣中正樹さん:
何が起こったかわかりませんでした。前の山を見ると、山の上に大きなきのこ雲ができていました。

語り:廣中正樹さん:
家に帰ってみると、お父さんは居間に座っていました。全身やけどの姿でした。「父ちゃん、どしたんか」本当に悲しくなりました。「正樹、お父さんの背中に刺さっているガラスを抜いてくれ」と言ったんです

語り:廣中正樹さん:
私は5歳の小さい指先でガラスをつかんでひっぱりましたが、びくともしませんでした。
「父ちゃん、全然とれないよ」お父さんは、「ペンチを持って来い」と言いました

語り:廣中正樹さん:
私はペンチを持って来て、ガラスをペンチを握って抜こうとしましたが、すべって全然とれませんでした

オンライン・イベント当日を迎えた。イベントには大人だけでなく、小学生の子供も参加し、自由に交流できる時間を設けた。

PC画面右側にはオンライン・イベント参加者が…
PC画面右側にはオンライン・イベント参加者が…

廣中正樹さん:
できるだけ協力してあげて、子供たちと一緒に過去のことも知ってもらって、自分たちは今度は将来どうすればいいかということを考えていただくことに役立ててもらえば一番いい

並川桃夏さん:
被爆者の方の「二度と自分たちと同じ思いをしてほしくない」という思いを胸に活動をしているので、絶対起こらないように自分1人では何もできないですけど、みんなを巻き込んで活動していけたらなと思います

被爆77年の夏、あの日をどう後世に伝えていくか…若い世代の取り組みは続く。

(テレビ新広島)