ソフトバンクグループは8日、2022年4月~6月期の決算が3兆円を超える巨額赤字だったと発表した。

株安と円安が影響

ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長:
ソフトバンク、大きな赤字でございます。

硬い表情で決算会見に臨んだ孫社長は、2022年第1四半期の決算が過去最悪となる3兆1,627億円の赤字だったと発表した。

また、徳川家康が三方ヶ原の合戦で大敗したあとに描かせた肖像画を「今の自分の心境」として紹介した。

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ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長:
彼(徳川家康)は自分のこの惨めな姿を覚えておきたいと、反省したいとこの絵を描かせた。私もソフトバンク創業以来、これだけ大きな赤字を出したと、このことをしっかりと反省し戒めとして覚えておきたい。

証券大手によると、国内企業の四半期決算としては過去最大の赤字額で、傘下のファンドが出資するスタートアップ企業などの株価が世界的な株安で下落したことや、急激な円安で、ドル建てで負債が膨らんだことが影響した。

孫社長は、「厳選して投資していれば、これほどの痛手は負わなかった」と反省の弁を述べている。

赤字脱却のカギは「金の卵」産むAI投資

三田友梨佳キャスター:
市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに聞きます。
ソフトバンクグループにとって厳しい決算となりましたね?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
決算説明会を拝見していましたが、強気で知られるいつもの孫社長とは違いました。
冒頭、徳川家康が自分への戒めとするために描かせた「しかみ像」になぞらえる形で、今回の決算説明会が始まりました。

「いい時の有頂天を反省し、惨めな姿を覚えておく」という、真摯な言葉で話している姿が印象的でした。

三田キャスター:
赤字の理由についてはどう見ていますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
主な赤字の原因は株安と円安です。
上場企業への投資は株価の大幅下落が影響しています。

例えば、頼みとするアリババの企業価値はピーク時から1/3となりました。
また、未上場企業については価値を減らした企業があり、マイナス計上となりました。
 "虎の子"の半導体設計大手のアームは好調ですが、上場のスケジュールについてはまだ見えないです。

そして、円安の影響です。借入の半分がドル建てですので、為替損が膨らみ投資の損失と合わせて3.1兆円の赤字となりました。

三田キャスター:
大変な額ですが、復活のためにはどんなことがポイントになりますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
1つは、コストの削減です。
例えばファンド運営には優秀な人材が必要なので、現在400人ほどの運営者が存在しますが、この人材を聖域のない形で世界的に規律を整えていく。つまり、人員の削減に踏み切るということです。

さらに赤字からの脱却の鍵となるのが孫社長のいう、「金の卵」が生まれてくること。
具体的には既存の投資先が大きく成長することで、特にAI企業に期待しています。

ビジョンファンドは既存投資先が473社ありますので、その企業価値向上に向き合うことに力を注ぎ、 次なるアリババやアームが誕生するように育てるということです。

日本企業でここまでリスクテイクできるのはソフトバンクグループくらいで、そこが魅力の企業です。戒めとして「しかみ像」を描かせた徳川家康は、武田信玄に敗れた経験を活かしてその後天下をとっています。

孫社長もまた、今回の赤字を教訓にビジネスという覇権争いで改めて世界に存在感を示すことを期待したいです。

三田キャスター:
これだけの赤字をどのように乗り切るのか、孫社長の手腕が問われそうです。

(「Live News α」8月8日放送分)