それは、やたらとバズったつぶやきだった。
「北海道にやたら多い、家の名前のバス停かなり好きだよ。」
投稿されたバス停を撮影した3枚の写真には「吉田宅前」「桜井宅前」「中山宅前」とあり、バス停の名前が個人宅の名前になっているようだ。

目当てのバス停は日本最北端の地、稚内を走る路線バスにあるという。そこでMr.サンデーは、実際に現地へ行ってみた。
ディレクター:
東京から出て約6時間ですね。北海道の稚内の方にやってきました。バス、バス、バス、どこですかね…
発見!「宅前バス停」は7つも存在
路線バスに乗って走ること15分。
車内アナウンス:
次は伊勢宅前、伊勢宅前…
ついに「宅前バス停」を発見!さらに…。
車内アナウンス:
次は、吉田宅前…。次は、田村宅前
次々に現れる「宅前バス停」。「○○宅前」というバス停は、同じ路線に7つも存在していた。

その1つで下車してみると…。
ディレクター:
田村宅前とあるんですが、お宅がない、家がないっていうバス停ですね。これは、どういったことなんでしょうか…?
田村家ばかりか、その周辺も見渡す限り「人家」らしきものは見当たらない。一体どういうことなのか。

創業70年という老舗バス会社に聞いてみたが、「残念ながら、当時を知る者が既におりませんので、バス停の名称を決めた経緯は不明となっております」との回答だった。
詳細は闇の中…。
謎のバス停を追い、出会ったのは
取材を進めると7つの宅前バス停のうち、実際にお宅が存在するのは3軒とわかった。ならばと、そのうちの1軒を訪ねてみることに。
ディレクター:
香林さんの名前があったので、ちょっとお伺いしたんですが、実際に香林さんでいらっしゃいますか?
香林さん:
はい、そうです。
ついに、バス停名と同じ名の住人に出会えた!
ディレクター:
なんでバス停がこんな個人宅の名前になっているか、ご存じですか?
香林さん:
いや、なんでかはわからないけど昔から…
弟さんにも話を聞いてみると…。
香林正史さん:
俺たちの代とか父親の代では、(バス停は)もうできちゃってるから、そんな珍しいもんじゃないのさ。本当にうちの祖父の代のものだから…
なんと、このバス停は60歳だという正史さんの祖父の時代からあるらしい。
約100年前からあった? 待合小屋も設置
それもそのはず。ここ稚内に初めてバスが走ったのは、今から101年前の大正10年のこと。40年前の住宅地図には7つのバス停すべてに、同じ名前のお宅が存在していたこともわかった。
香林正史さん:
昔からある話だし、それが珍しいかどうかっていうのは…。都会の人にすればあるのかもしれないけど。
そう言いながら、自腹を切って建てたというバス停の待合小屋を見せてくれた。

さぞ思い入れがあるのかと思いきや…。
香林正史さん:
これは俺が飲みに行くときのための。

ディレクター:
自分のため?
香林正史さん:
そうだよ。正直その通り。
ディレクター:
でも、みんな使ってもいいですよね?
香林正史さん:
使うのは構わないけど。俺は飲みに行くときに車で行けないから、待つために。夜の寒空は厳しい
北の大地に暮らす人々は、あくまでも自然体だった…。
(「Mr.サンデー」8月7日放送分より)