職場での「ちゃん」付けがセクハラに認定。
一体、何があったのでしょうか。
佐川急便の営業所に勤めていた40代女性は、同僚の男性からセクハラ被害を受けたとして約550万円の賠償を求め、2023年に東京地裁に提訴していました。
判決によると、男性は職場で女性を日常的に「ちゃん」付けで呼び、「かわいい」「下着が見えてしまう」「体形いいよね」などと話しかけていたといいます。
女性は、うつ病などを発症して退職しました。
東京地裁は23日の判決で、「ちゃん」付けについて「一般的には幼い子供に対して用いられ、成人に対して使うのは交際相手などの親密な関係にある場合が多く、業務上で用いる必要性は見いだしがたい」と、「ちゃん」付けは不快感を与えるものだったとして、一連の発言を含めてセクハラに当たると認定し、男性に22万円の賠償を命じたのです。
女性は佐川急便も提訴していましたが、会社が解決金70万円を支払うなどの内容で2025年2月、和解が成立しています。
厚生労働省の資料では、職場での「ちゃん」付けはセクハラに当たるケースもあると例示されています。
さらに、ハラスメント対策専門家の山藤祐子さんも判決について「『ちゃん』付けだけがセクハラとして認められたということではない」としたうえで、「職場に適した呼称ではない」と指摘します。
ハラスメント対策専門家・山藤祐子さん:
○○ちゃんと呼ぶことで距離を縮めようという気持ちがもしかしたらある。言葉の使い方・相手に対し聞く姿勢で、相手に敬意を示すことが職場で必要。
街の人は、会社の同僚をどのように呼んでいるのでしょうか。
東京・新橋で働く男性に話を聞くと「基本は○○さんという言い方。男性や女性でも○○さんと言えば、少なくとも失礼にはならない、敬意を持って話せる」「女性は名字で“さん付け”。こっちの人は○○ちゃんで、こっちは○○さんと区別してるみたいで、ややこしいことになるから誰でも“さん付け”」「○○さんって言ってる。今の時代は自分が注意しないと、足がすくわれて相手がどう思うかで決まる」などと、多くの人が職場で“さん付け”で呼ぶと答えました。
一方、女性からは「さんと呼び捨てが多いかもしれない。後輩に、そこまで仲良くないのにちゃん付けはキモいという話はされた」「私も下の名前でちゃん付けで呼ばれたことあるんですけど、親しく思ってくれているのかなと特に違和感や不快な感じもない」といった声も。
では、“くん付け”はどうなのでしょうか。
ハラスメント対策専門家・山藤祐子さん:
くん付けの呼び方は、男の子を呼ぶ言い方として世間一般には認知されていると思う。相手の能力を認めているという呼び方ではないと思うので、年上にも年下にも使える呼び方として、○○さんという言葉があるので、○○さんと呼ぶのが一番誰に対しても傷つけない、誰に対しても違和感がない言い方だと思う。