少しずつ観光客が戻ってきた北海道で、函館市の異国情緒あふれる街並みや風景が、若者の人気を集めている。

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レトロな雰囲気に浸る "函館の魅力"を再発見!

アンティークなテーブルにソファ。カフェの店内に一歩足を踏み入れると、そこはレトロの世界。夕暮れは至福の時。オレンジ色に染まる景色をひとり占めできる。

異国情緒あふれる街並みや風景。レトロな建物が数多く残る函館市。そんな函館を見る若者たちの視線が熱い。その人気の理由とは?

函館山の麓にある「茶房 ひし伊」。
1921(大正10)年に建てられた質蔵をリノベーションして営業している。レトロなテーブルやソファをしつらえ、大正モダンの雰囲気を醸し出している。
自家製の寒天と黒蜜を使用した、和洋折衷の「あんみつ」などが人気だ。

神戸市からの観光客(20代):
普段来られないような雰囲気があったので、せっかくだから来てみたいと思いました。もの珍しい感じがします

最近、若い人の姿が目立つようになった。

茶房 ひし伊 入村 里奈枝さん:
以前はあまり若者の姿はなかった。自分たちは古いと思っていないんですが、若者には逆に新鮮なんでしょうか

"オレンジの道"が伸びる海 函館の夕日は「SNS映え」

古民家を20年ほど前にリノベーションしたカフェ「モーリエ」。窓からは色鮮やかなアジサイや、海が一望できる絶景が広がっている。こちらも若者に人気だ。

東京からの観光客(20代):
めちゃくちゃ良い写真が撮れました

撮影していたのは海に浮かぶ夕日。船が行き来する中、空と海がオレンジ色に染まっていく。

モーリエ しのぶさん:
卵のようなきれいな太陽が沈みかけると、オレンジの道筋がまるで自分に向かっているかのように伸びてくるんです。何とも言えない、一日のご褒美ですよ

ランプに夕日をあてると、まるで火が灯っているよう。

東京からの観光客(20代):
すごくSNS映えするような店がたくさんある。またぜひ函館に戻ってきて、もう少し街を歩きたいです

モーリエ しのぶさん:
誰もが撮りたくなる景色だと思います。一人旅の女性や男性が、ふらっと来て楽しんで帰る人が多いです。

自分も"レトロ"に演出! 古さは「すべてが新しい」

ほかにも若者が熱い視線を送るスポットがある。

ドレスや着物などを貸し出している「函館和洋モダン貸衣装館」だ。レンタルした服で街を散策できる。
札幌から訪れた5人の高校生も、400種類以上ある衣装選びを楽しんでいた。

札幌からの観光客(高校生):
えー、どうしよう。これ、めっちゃかわいい

札幌からの観光客(高校生):
どうしよう、いやードレスも捨てがたい

悩んだ結果、袴やドレスを選んだ。普段はなかなか着ることのできない衣装だ。

札幌からの観光客(高校生):
見せつけたい。誰も着ていないよね

特別な衣装で身を包み、函館の街を散策。観光スポットでは写真を撮り合う。

札幌からの観光客(高校生):
かわいいわ、かわいいね

札幌からの観光客(高校生):
いいね、いえーい、素晴らしい

たくさん撮った写真、何に使うのだろうか。

札幌からの観光客(高校生):
SNSのトップ画像にします

札幌からの観光客(高校生):
みんなに見てほしい。SNSに載せます

札幌からの観光客(高校生):
かわいいし、映える。なかなか都会にはないです

若者の心をわしづかみにする函館レトロ。なぜ、ここまで人気なのだろうか。

函館大学 地域連携コーディネーター 高橋 和将さん:
昔のものは今の若者たちにすると、全く経験していないことだから全てが新しいものに見える。SNSを通じて価値観が共有されて、足を運ぶきっかけになっています

若者によるSNSの活用は、観光需要の回復に一役買う可能性もあるという。

函館大学 地域連携コーディネーター 高橋 和将さん:
SNSで波及することで、地域のブランド力や良さが周りに伝わって、他の地域から吸い寄せる一つのきっかけになるのではないでしょうか

若者が見つける古くて新しい函館の魅力。そこには、新たな函館観光の可能性が秘められていた。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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