あまりにも異質な「ケンタウロス」

新型コロナの第7波で流行中の「BA.5」よりも感染力が強いとされる変異ウイルス「ケンタウロス」が広がってきている。

「ケンタウロス」というのは第6波の主流だったオミクロン株「BA.2」がさらに変異した「BA.2.75」のこと。

これまでとはあまりにも異なる特徴を持つということから、ギリシャ神話半人半獣に例えて「ケンタウロス」と呼ばれている。

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感染力はアメリカでの研究によると、今猛威を振るっている「BA.5」の3.24倍も強いとされている。

その「ケンタウロス」が国内で次々と確認されている。

「ケンタウロス」が初めて確認されたのは7月8日兵庫県で1人。その後19日に大阪府で2人、東京都でも21日と28日に合わせて4人、愛知県でも27日に1人の感染が確認されている。

国内の流行も「ケンタウロス」に置き換わる?

今後この「ケンタウロス」への置き換わりはどうなってくるのか?

厚労省の専門家会合で京都大学の西浦博教授は、今後「ケンタウロス」に置き換わりが進む可能性を指摘している。

西浦教授によると、東京都の1日の感染者が3万人の場合は、その内184人が既に「ケンタウロス」の感染者だと推定されるとしている。そして5万人になれば306人になると推定している。

つまり都内では、既に「ケンタウロス」の流行が始まっている可能性がある。

「ケンタウロス」に置き換わった場合の影響

「ケンタウロス」の重症化率については、まだよくわかっていないが、このまま置き換わりが進むとどのような影響が出るのか?

西浦教授によると、第7波がピークを越えた後に再び感染者数が増加したり、流行が長引いてさらに医療がひっ迫することが想定されるという。

番組では日本感染症学会の専門医で東京歯科大学市川総合病院で感染症予防の責任者でもある寺嶋毅医師に話を聞いた。

加藤綾子キャスター
寺嶋先生、感染力が強いBA.5から、さらに感染力が強い「ケンタウロス」の感染が既に広がっている可能性、さらに今後置き換わっていく可能性が指摘されましたが、この見立てをどうご覧になりますか?

東京歯科大学市川総合病院・寺嶋毅医師
先ほど重症化率が高まっているという報告は現時点ではないということですので、私たち一人一人にとっては、いたずらに恐れる必要はなく、「BA.5」に対しても「ケンタウロス」に対しても、マスクや換気など今まで通りの感染対策を続けることが大事です

東京歯科大学市川総合病院・寺嶋毅医師
一方で行政としてはゲノム解析を多く行うことで、どの地域でどの位増えているのか、できるだけ正確に近い割合を出していくと。それによって広がりやすさ、早さを分析すること、またせっかくワクチンを打ってできた抗体に対して免疫逃避の可能性がどの程度あるのかや、薬の効き目がどうかという情報収集に努めていくのが大事なのかなと思います

政府は感染者急増を受けて「早期にワクチン3回目の接種を受けること」「帰省などで高齢者と接触する場合は事前検査」「高齢者・基礎疾患のある人、その同居家族は感染リスクの高い場所への外出、移動を控える」ことなどを推奨している。

(イット! 7月29日放送より)