滋賀県大津市の比叡山延暦寺に「奇跡の仏像」があった。約450年前に起きた、織田信長の比叡山焼き打ちを免れていたというのだ。
お堂改修で仏像を修復していたら…まさかの大発見
研究者たちが熱心にのぞき込むのは、部位ごとに細かく分けられた修復中の仏像。
この記事の画像(8枚)――中を見るときはワクワクするんですか?
大津市歴史博物館 寺島典人 学芸員:
それはワクワクする。タイムカプセルみたいなもの
この仏像が置かれていたのは、比叡山延暦寺の根本中堂。現在は改修工事が行われている。1571年、織田信長の「比叡山焼き打ち」で焼失したお堂だ。
全てが焼けてしまったので、干支を頭部にまとった「十二神将」という12体の仏像は、江戸時代にお堂を再建した際、一緒に作られたと考えられていた。
しかし、お堂の改修に合わせて仏像を順番に解体して修復したところ、ある大発見が…。
大津市歴史博物館 寺島典人学芸員:
ここに「正慶元年」と書いてある。このお像が作られたのが1332年ということで、延暦寺根本中堂の焼き打ちの1571年よりも古いことが分かります
「十二神将」の1つ、午神(うまがみ)。内部に残された墨書きに、鎌倉時代末期の年号があったのだ。
仏像はその頃に作られていて、約240年後に起きた比叡山焼き打ちを免れていたことが分かった。
――なぜこの像は焼き打ちを免れることができた?
大津市歴史博物館 寺島典人学芸員:
それは難しいですね。本当に奇跡的なことだと思います。よく残ったなと思います
驚きの発見に、延暦寺の研究者も…。
比叡山延暦寺 宇代貴文 主任学芸員:
信長の焼き打ち、あれだけすごい焼かれようで、今まで残って来たというのがあまり信じられないんですけども。その当時の人たちが一生懸命守ったんだなというところに感激している
修復中の仏像は、大津市歴史博物館で7月23日から9月4日まで展示される。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月22日放送)