私がお伝えしたいのは「薬学部はもう増えない」です。
文科省の有識者会議は2025年度以降、大学の6年制薬学部の新設や定員の増加を認めないとする案をあすにもまとめる方針です。
背景には、薬学部が急増し2045年にはおよそ10万人もの薬剤師が余る恐れがあり就職難の可能性が指摘されています。
ポイントはこちら「薬学部が急増、薬剤師は本当に余るのか?」注目です!
【注目ポイント・記者解説】
解説文部科学省の有識者会議「薬学部教育の質保証専門小委員会」はあす会議を開き、2025年度以降6年制薬学部の新設や定員増加を認めないとする案をまとめる方針です。
厚生労働省の調査によると薬剤師の数は2045年には必要な人数(33万~40万人)を10万人程度上回るとみられていて、その場合、就職難や待遇の悪化などを招く恐れがあります。
「薬剤師余り」の背景には近年の薬学部の急増が指摘されています。
薬学部は2006年度には66大学67学部でしたが新設が相次ぎ、2021年度には77大学79学部となっています。
医師や歯科医師、獣医師を養成する大学は原則、新設や定員増が認められていませんが、薬学部は大学が自由に申請でき、法令に適合すれば認可されてきました。
このため、国家試験合格率が低い大学もあるなど、薬学教育の質の低下も指摘されていました。
こうした現状を受け文科省が方針を転換したもので、今年度中の設置基準の改正を目指します。
その一方で、薬剤師は都市部に集中していて地方の病院では不足している場所もあります。
そのため、文部科学省は2025年度以降も不足している地域では例外として薬学部の新設や増員を認める方針です。
新型コロナウイルスの感染拡大で薬局における無料検査や医師と連携して健康観察を行うなど薬剤師の重要性が改めて認識される中、厚労省と文科省が連携し教育の質を確保すると共に薬剤師の新たなあり方や働き方への対策が求められています。
(フジテレビ社会部 林英美)