ロシアからドイツに天然ガスを送るパイプラインからのガスの供給が、点検作業を理由に停止された。

経済制裁に対する報復か

ロシアからドイツにつながるパイプライン「ノルドストリーム」を運営するロシアの国営ガス会社は、定期的な点検作業を理由に7月11日からドイツへのガスの供給を停止した。

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作業は7月21日までとしているが、経済制裁に対するロシア側の報復との見方が強く、ドイツ政府の担当者は「作業終了後にどうなるかは予測できない」とし、点検終了後もガスの供給を再開しないのではとの懸念が広がっている。

このパイプラインをめぐっては6月、修理に時間がかかっているとして供給量が約60%削減されていて、暖房需要が高まる冬に向けてドイツ政府は備蓄を急ぐ方針だ。

求められる脱ロシア依存

三田友梨佳キャスター:
風間解説委員に聞きます。ドイツへの天然ガスの供給が再開されない懸念が広がっていますが、日本はどう受け止めれば良いのでしょうか? 

風間解説委員:
ロシアは米欧日の経済制裁に対し、エネルギー遮断で反撃してきたと考えるべきです。
ロシアは日本も「非友好国」と認定していますから、程度の差はあっても遮断の対象になります。
6月30日にプーチン大統領が、サハリン2を事実上接収する大統領令に署名し、同日に発効しましたが、これはエネルギー遮断に繋がる動きです。

いったいどういうことになるのか詳細は不明ですが、関係する日本企業、そして日本のLNG調達が極めて不安定な状況に陥ったことは間違いありません。ドイツの状況を他人事と思わずに、最悪を想定した対策を進める必要があります。 

三田キャスター:
ロシアはノルドストリームによるドイツへの天然ガス供給をこのまま止めてしまうのでしょうか? 

風間晋解説委員:
供給再開がほんの数日遅れるだけで、ドイツ、そしてEU各国には激震が広がります。
この戦争は、ロシアの軍事侵攻に対して、米欧日が結束して経済制裁で対抗する構図です。

エネルギーを止められて米欧日はお手上げだと世界に知れたら、経済制裁は全く通用しなくなります。米欧日は、エネルギーの脱ロシア依存を覚悟をもって進めることが必要です。そうでないと今後、事あるごとにロシアに「エネルギー遮断」で攻められることになります。 

三田キャスター:
先進国の中でも日本はエネルギー自給率が極めて低い国です。先手の対応が待たれます。

(「Live News α」7月12日放送分)