西日本豪雨から4年。2018年の災害では、早期避難の大切さと夜間避難の難しさが教訓として残った。いま、広島県の被災地では、この教訓を生かした新しい訓練が行われている。

4年前の教訓活かした夜間避難訓練

先日、広島・熊野町で、町の東部地域を対象とした避難訓練が行われた。

野川アナウンサー:
いま町内放送でサイレン、注意喚起が流れています。それぞれ住宅から住民が続々と出てきます

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町内放送:
大雨のため警戒レベル4、避難指示を発令しました

消防団員:
避難お願いします!

訓練の開始時間は、辺りが一気に暗くなり始めた午後7時半。

(Q.これまで夜間訓練の経験はある?)
住民:
ないですね。夜は…だからいいなと思ったんです。いつ災害があるか分からないので

西日本豪雨以降、初めて町が主導して行った避難訓練。

2018年、熊野町では12人の尊い命が犠牲となった。

近年、夕方から翌朝にかけて大雨が降ることが多く、夜間にかけて避難情報を発することがあるため、熊野町では夜間の防災訓練を重要な訓練と位置付けている。

熊野町・三村裕史町長:
昼間と夜では全然対応が違いますので、夜の大変さを一度体験していただいたほうが良いかと

ペットも一緒に避難 暗い中を道順確認しながら

避難を始めた住民が続々と避難場所となっている防災交流センターに到着。

(Q.ペットと避難しているが、どういう風に避難するか何度か練習しておかないといけない?)
参加した住民:
そうですね。本当に自分の子と一緒でかわいいんですよ

入口での検温や消毒、避難者名簿への記入など役場の職員たちも手順を確認する。

参加した住民:
夜の避難は、まず道が分かりにくい。慣れた道だが…子供とどこに逃げればいいかが分かるので参加した

事前に見て感じて…発災時のスムーズな避難につなげる

熊野東防災交流センターは、これまでの災害であきらかになった課題を解決するため、避難しやすい空間を目指し、2021年に完成した防災拠点。今回の訓練の目的は、事前に見て感じてもらうことで、災害が起きた際にスムーズに避難できるようになること。

野川アナウンサー:
こちらの防災ホールに入ると、避難時に使う段ボールベッドの作り方や構造を、職員が住民に丁寧にレクチャーしています

町職員:
避難時にこれらを作っていくのは避難された方々、みなさんです。

野川アナウンサー:
こうして作り方だけでなく構造、仕組みまでしっかり学ぶことは大変有意義なことだと思います

段ボールベッドづくりを体験
段ボールベッドづくりを体験

施設内には他にも、和室や室内での炊き出しに活用できる調理実習室、

さらには…

野川アナウンサー:
こちらには4部屋、シャワールームも準備されています。なかなか自由にいかない避難生活ですから、こうした個室空間があるのは非常に助かるポイントになりますね

そして1階にある講義室は、災害時にペットの避難エリアになる部屋で、防臭・消臭の壁紙を使っているとのこと。

三村裕史町長:
西日本豪雨発災後の1週間は、ペットの同行世帯と一般の世帯が混在になったので、トラブルが発生しました。そういった面からも、次の防災には配慮が必要だと痛感した

西日本豪雨の教訓を活かし、避難しやすさを重視した防災拠点ができたことで、今回の夜間の避難訓練など住民の避難意識の向上を促す環境づくりが進んでいる。

(テレビ新広島)

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