1948年(昭和23年)6月28日、福井県の福井平野を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、3800人が犠牲になった。のちに福井地震と呼ばれるようになったこの震災から、2022年で74年を迎えた。

子どもたちに知ってほしいと5人が活動

特に被害が大きかった永平寺町には、当時の経験を紙芝居で伝えている被災者団体がある。しかし、近年は高齢化に加え新型コロナウイルスの影響で、活動の継続が困難になっている。

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紙芝居:
突然、轟音とともに宙を舞うように台から落とされた。地震だ!

1948年6月28日に発災 マグニチュード7.1の地震で3800人が犠牲に
1948年6月28日に発災 マグニチュード7.1の地震で3800人が犠牲に

「福井大震災・語り部の会628」は、被害が大きかった永平寺町松岡地区で震災を経験した住民でつくる団体。学校を訪問し、地震の記憶を子どもたちに伝えている。新型コロナウイルスの感染拡大で上演は減ったが、活動は継続している。

ただ高齢化が進み、最大15人いたメンバーのうち、現在活動が続けられるのは5人にまで減った。5人全員が80代だ。

涙ながらに…家族を失った夫の経験を代読

6月、福井地震の被害状況や復興の様子を調査する災害の専門家らを前に、紙芝居を披露した。

読み上げるのは、最高齢の布目鈴子さん(89)。一緒に語り部を続けてきた夫の輝雄さんは、2年前に亡くなった。自身の被災経験とともに、初めて夫の経験も代読した。

布目鈴子さん:
余震が続く中、倒壊した家屋を越え、家にたどり着くと全壊していた。母親の前には変わり果てた妹の姿があった。父と悲しみをこらえて火葬した

涙ながらに夫の体験を話す布目さん。大切な家族を失う辛さを、精一杯伝えた。

布目鈴子さん:
夫も紙芝居で話す時にいつも涙ぐんでいた。それを思い出してこみあげてきた

紙芝居を聞いた災害の専門家:
悲しみと真正面に向き合わないと乗り越えル事はできない。きょうの話は大切だった

福井地震から74年が経過し、その悲惨な体験は人々の記憶から薄れつつある。しかし、布目さんは今でも地震のニュースを見ると、74年前の光景を思い出す。

布目鈴子さん:
他人事とは思えない。自分の悲しみを、そこの地域の人も経験していると思うと辛い

ようやく再開した語り部の活動。ただ高齢化のため、あと数年で活動が途切れてしまう恐れもある。それでも災害を自分事として感じ、その瞬間に備えてもらうため、できる限り活動を続けていきたいと話す。

(福井テレビ)

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